昨年の大きな変化としてまず1つ目は世界的に更なる金融緩和が起きたということです。それは主要各国の10年国債の利回りの低下にはっきり現れています。08年9月に勃発したリーマンショック時も世界的な金融緩和が生じましたが、今回は更に金利が低下しています。
 具体的には、リーマンショック時(08年)と昨年(12月中旬まで)の各国の利回りを比較しますと、日本1・7%→1・2%、1%→0・7%。米国4%→2・3%、2・2%→1・5%。ドイツ4・5%→3%、1・8%→1・4%。豪州6・5%→4%、4%→3%、ブラジル17・5%→13%、11%→9・25%。インド9・5%→5・5%、8・5%→8・1%となっています。
 つまり金融資産としてはリーマンショック後、債券相場は大幅な金利低下により上昇し続けたわけです。 昨年、いかに債券が買われたかという出来事として2年以下の国債にマイナス金利が付いたことです。
 本来債券を保有すれば利息を受け取れますが、マイナス金利の付いた債券保有者は、利回り分だけ元本が減少するという異常事態が夏頃に起きています。
 このマイナス金利の付いた国は、米国や欧州のドイツ・フランス・オランダ・フィンランド・ベルギー・スイス・オーストリア・デンマークなどです。
 ただし財政危機にあったイタリアやギリシャでは逆に信用不安から債券が売られ、利回りが上昇(債券単価は下落)しました。イタリアでは昨年7月に5%→7%に、ギリシャで同15%→36%に利回りが上昇しています。
 その後、イタリアは4・5%、ギリシャは16%まで低下しています。いかに南欧国の国債が売られ、利息を払ってでも安全な国の国債を保有したい投資家が多かったかがわかります。
 2つ目は、12月に世界株式指数が円ベースで3月の高値を更新したことです。つまり昨年は債券も上昇したが、同時に株式も上昇しているわけです。
 本来この2つの資産は株式が上昇すれば債券は下落し、債券が上昇すれば株式は下落するという逆相関関係にあるものですが、昨年は両資産とも上昇しています。背景には、世界的な超金融緩和により有価証券すべてが買われ上昇したということです。
 このような状況は金融相場といわれ、景気回復が無くても市場にお金があふれている場合に起きる現象です。ここで国内投資家から見て(円ベース)、国内外の金融資産の昨年の騰落を見てみます。期間は年初から12月中旬の計算です。国内株式指数15・6%・先進国株式指数23・6%・新興国株式指数22・5%、国内債券指数1・8%・先進国債券指数15・3%・新興国債券指数23・4%、国内リート指数31%・先進国リート指数29・3%となっています。
 このように国内投資家にとってはどの金融資産も上昇しています。なかでも国内外のリート・国内外の株式・海外債券の上昇は結構なものです。そのため皆さんの保有証券も上昇していることと思われます。特に後半の上昇に影響を与えたのは為替の円安によるものです。
 3つ目は昨年3月にも円安水準がありましたが12月に入り更に円安が進みました。通貨についても年初から12月中旬までの円と主要国の為替を検証します。  円の対ドル9・1%・対ユーロ10・4%・対豪ドル12・4%・対インドルピー6・2%・対ブラジルレアルマイナス3%・対南アランド1・4%・対トルコリラ15・6%となっています。先進国とトルコは1割以上の円安に対し、新興国通貨はまだ円安水準が低いと判断できます。 
 昨年の3つの流れをもとに今年の相場はどの様に予測できるのでしょうか?参考として昨年12月に証券分析のプロである世界の証券アナリスト6700人を対象にした今年の相場見通しに関するアンケート結果が出ていました。
 株式市場では最も有望な対象として米国株回答比率32%、次に中国株17%、ブラジル株10%と続きます。 もっとも高い運用利回りが期待できる金融資産は、株式で50%、次に貴金属22%、債券8%となっています。株式は、前年比9ポイント上昇、貴金属や債券は前年比2から3ポイント低下という結果でした。全体的にリスク資産に強気な背景には世界景気見通しの改善があるようです。
 (資産運用アドバイザー 宮﨑 英壽 連絡先℡090・5008・0874)

 『姫マツタケ』で知られる、きのこ研究の専門企業㈱岩出菌学研究所は2月9日土曜9時半~11時頃まで(受付け9時~)同社敷地内(津市末広町1─9号)で、第7回「親子きのこ教室」を開くにあたり参加家族を募集中。雨天の場合は翌日(2月10日)に延期。後援=㈱シエン。
 きのこ栽培を通じて〝食育〟に役立ててもらうのが目的。毎回定員一杯になる人気企画。今回もシイタケ菌の種駒の植え付けを体験する。講師は同研究所農学博士の原田栄津子さん。
 参加費は1家族税込千円で、帰りに「菌のまわったシイタケの原木」と「ナメコの菌床ブロック」がもらえる。美味しいきのこ生育アドバイスもしてくれる。
 募集数は20家族(小学生以下の子供がいる家族は必ず保護者同伴)。定員になり次第締め切り。軍手・かなづち・原木が入る大きなビニール袋(ごみ袋2枚程度)を持参のこと。
 問い合わせ・申し込みは同社℡059・228・5786。FAX224・4661(24時間受付)。

寿老神霊場「高山神社」

斎館に祀られている寿老神像

 まだ完全に正月気分が抜けきらない1月8日の13時すぎ、津市丸之内のお城公園より新年最初の七福神巡りをスタート。今回の目的地は公園の隣にある寿老神霊場・高山神社だ。
 今までは寺院が続いてきたが神仏習合スタイルのこの七福神巡りらしく初の神社となる。津藩祖・藤堂高虎公を祭神として祀るこの神社は本来、津城内にあったが戦災による焼失などを経て、内堀の埋立地にあたる現在の場所に移転している。高虎公は腕っ節自慢の荒武者から自己変革を重ね32万石を所領とする大名にまで出世。公明正大な人格から諸大名の信頼も篤く、外様ながら家康・秀忠・家光の絶大なる信頼を勝ち得た稀有な存在でもある。江戸幕府の終焉まで藤堂家が転封・取り潰しとは無縁だったのには少なからず、その威光が影響を与えていることは間違いない。津の繁栄の礎を築いた公は藩士や領民にとって神に等しい存在であったことは想像に難くなく、文久3年(1863年)に正式に神として祀られるようになったことも素直に頷ける。
 境内には城山稲荷大神も祀られおり、仕事初めの頃には企業の参拝も多い。7日も過ぎて少し落ち着きを取り戻した境内に入り、まずは本殿を参拝。続いて隣の斎館で色紙に朱印を捺して頂く。その間に館内に祀られている寿老神像を参拝。道教がルーツのこの神は、緯度の関係で日本や中国からの観測が難しいことから、見ると長寿になれると言い伝えられてきた南極星(カノープス)の化身・南極老人がモデルといわれている。長い頭に鹿を従えた姿が一般的だが、この像は鹿の背に腰を下ろしているこぢんまりとした姿と相まってどこか愛らしい。
 そうこうしていると、遍路笠に白装束と、どこかで見覚えのある男性が境内を訪れた。本紙・西田久光会長である。西田会長といえば以前、本紙で連載していた「歩きへんろ夫婦旅」でご存知の読者の方もいらっしゃると思うが、四国霊場八十八ケ所を巡る約1200㎞の道程を徒歩で踏破したほどの健脚の持ち主。この伊勢の津七福神を更に盛り上げるべく、市民目線からの意見を出し合う友の会の会長も務めている。
 先月に一度、全ての霊場を徒歩で巡ったとは聞いていたが、七福神だけに七度巡ってこそ、真の満願成就を迎えられるという。そこで、この日も朝から榊原町にある布袋尊霊場・地蔵寺からここまで前回と少しコースを変えながら歩いてきたそうだ。もちろん、私と会長がここで出会ったのは全く偶然。これも七福神のお導きなのだろう。
 西田会長や多田久美子宮司から色々な話を伺っていると、色紙を手にしたご夫婦が境内へ。声をかけると嬉しいことにこの連載を目にされて霊場巡りをされているそうだ。度重なる七福神のありがたいお導きに感謝をしつつ、西田会長を見送り高山神社を後にする。
 この日は時間的な問題もあり、立ち寄れなかったが参拝後に是非とも味わいたかったのが、神社のすぐ近くにある老舗洋食店・レストラン東洋軒のブラックカレー。見た目のインパクトや深く上品な味わいに加え川喜田半泥子とのやりとりの中で生まれたストーリー性からも津を代表するグルメと呼ぶにふさわしいだろう。この七福神めぐりはこういった美味たちとの出会いも大きな楽しみだ。(本紙報道部長・麻生純矢)

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