

検索キーワード




まだ完全に正月気分が抜けきらない1月8日の13時すぎ、津市丸之内のお城公園より新年最初の七福神巡りをスタート。今回の目的地は公園の隣にある寿老神霊場・高山神社だ。
今までは寺院が続いてきたが神仏習合スタイルのこの七福神巡りらしく初の神社となる。津藩祖・藤堂高虎公を祭神として祀るこの神社は本来、津城内にあったが戦災による焼失などを経て、内堀の埋立地にあたる現在の場所に移転している。高虎公は腕っ節自慢の荒武者から自己変革を重ね32万石を所領とする大名にまで出世。公明正大な人格から諸大名の信頼も篤く、外様ながら家康・秀忠・家光の絶大なる信頼を勝ち得た稀有な存在でもある。江戸幕府の終焉まで藤堂家が転封・取り潰しとは無縁だったのには少なからず、その威光が影響を与えていることは間違いない。津の繁栄の礎を築いた公は藩士や領民にとって神に等しい存在であったことは想像に難くなく、文久3年(1863年)に正式に神として祀られるようになったことも素直に頷ける。
境内には城山稲荷大神も祀られおり、仕事初めの頃には企業の参拝も多い。7日も過ぎて少し落ち着きを取り戻した境内に入り、まずは本殿を参拝。続いて隣の斎館で色紙に朱印を捺して頂く。その間に館内に祀られている寿老神像を参拝。道教がルーツのこの神は、緯度の関係で日本や中国からの観測が難しいことから、見ると長寿になれると言い伝えられてきた南極星(カノープス)の化身・南極老人がモデルといわれている。長い頭に鹿を従えた姿が一般的だが、この像は鹿の背に腰を下ろしているこぢんまりとした姿と相まってどこか愛らしい。
そうこうしていると、遍路笠に白装束と、どこかで見覚えのある男性が境内を訪れた。本紙・西田久光会長である。西田会長といえば以前、本紙で連載していた「歩きへんろ夫婦旅」でご存知の読者の方もいらっしゃると思うが、四国霊場八十八ケ所を巡る約1200㎞の道程を徒歩で踏破したほどの健脚の持ち主。この伊勢の津七福神を更に盛り上げるべく、市民目線からの意見を出し合う友の会の会長も務めている。
先月に一度、全ての霊場を徒歩で巡ったとは聞いていたが、七福神だけに七度巡ってこそ、真の満願成就を迎えられるという。そこで、この日も朝から榊原町にある布袋尊霊場・地蔵寺からここまで前回と少しコースを変えながら歩いてきたそうだ。もちろん、私と会長がここで出会ったのは全く偶然。これも七福神のお導きなのだろう。
西田会長や多田久美子宮司から色々な話を伺っていると、色紙を手にしたご夫婦が境内へ。声をかけると嬉しいことにこの連載を目にされて霊場巡りをされているそうだ。度重なる七福神のありがたいお導きに感謝をしつつ、西田会長を見送り高山神社を後にする。
この日は時間的な問題もあり、立ち寄れなかったが参拝後に是非とも味わいたかったのが、神社のすぐ近くにある老舗洋食店・レストラン東洋軒のブラックカレー。見た目のインパクトや深く上品な味わいに加え川喜田半泥子とのやりとりの中で生まれたストーリー性からも津を代表するグルメと呼ぶにふさわしいだろう。この七福神めぐりはこういった美味たちとの出会いも大きな楽しみだ。(本紙報道部長・麻生純矢)
2013年1月17日 AM 4:57