ある人によると、苦情を言えるようになったら、おばさんだそうだ。 
 先日、産直野菜の並ぶ店で大和芋を購入した。ところが、二日後に皮をむいたら半分以上色が変わっていた。青カビも生えている。少々ましな一個を料理し、生産者のバーコードをとり置いた。 こんな場合、どうするか。芋が四個入って百二十円。金額はわずかである。しかし、無視できない。日付を見れば私が買うまで六日間店の棚にあったようだ。食品管理責任は私の二日より店の六日に重いのではないか。 次に店に行ったのは、何日か後である。買い物のレジで件のバーコードを提示した。「これ買って二日後に食べようとしたら、半分以上腐っていたんですが」と私。レジのお姉さんは「言っときます」。少々カチンと来た。「こういう古い商品を並べておいてもらったら困るわ」「だから生産者に言っときます」「あなたは私に何も言わないの?」
 何かをしてほしいと粘るつもりもなかったのでそこまでにした。これが大手スーパーのレジ係なら、即座に「申し訳ございません」と返ってくるはず。マニュアル通りだとしても店の看板を背負って謝ることができる。 自分の落ち度でなくとも頭を下げなくてはならない時がある。どうしても自分で謝りたくなかったら上司を呼ぶ。レジに限らず、接客の基本だろう。そこまで教えてやればもっとおばさんらしかったと思う。  (舞)