岡田泰典専務

 津市白山町佐田の『猪の倉温泉』=運営・㈱猪乃倉=は三重県の財団法人と旧白山町の第3セクターが運営していたが地元の自動車部品製造会社が買取り、平成17年に民営化。以降、地域活性化や雇用創出を目指し地元農産物やオリジナル化粧品の販売、官民連携による「湯けむりコミュニティ事業」など地域密着の経営を行い集客を伸ばしている。同社の岡田泰典専務(30)に話を聞いた。(聞き手=本紙・小林真里子)

 

 ──自動車部品製造業から温泉業に挑戦した経緯を教えてください。
 岡田 当温泉が競売にかけられたとき、津市内や県外の企業から手が挙がったが、町内からは挙がらなかった。県外企業が買い取ったら地元の雇用がなくなるかもしれない。そこで、当時、町内で「白山電器」を経営していた当社社長で私の父の岡田照良が、「地元企業として手だけでも挙げよう」とプレゼンに参加し入札した。当時、私は高知工科大学の学生で、卒業後すぐ帰郷して働き始めた。
 経営にあたってはお客様の利便性と、お客様目線のサービスを重視。町内近辺など地元の人材を積極雇用し、新人研修では、私が挨拶やおもてなしの心を直接指導する。
 また〝地域密着の手づくり的経営〟を目指し、名古屋・大阪・京都からの観光客向けの地域の産品や、私自身がアトピーに悩まされていたのを機に開発した温泉水配合のボディーソープをはじめ化粧品を販売。
 当温泉を核に官民が連携し地域活性化を目指す「湯けむりコミュニティ事業」では一昨年、津市社会福祉協議会の協力を得て独居老人向けのサロンを開いた。ほかにも、施設周辺に2ケ所のノルディックウォーキングコースを整備し、イベントを開いている。
 ──民営化後、利用者数はどう推移していますか。
 岡田 年間利用者数は増減を繰り返しているものの全体的には増えており、日帰り温泉の入浴者数は年間16万人から18万人と約18%増加した。要因にはサービスや認知度の向上もあると思う。
 ──東京でのPR活動も盛んに行われていますね。
 岡田 私が4年程前から東京に出向いて旅行代理店への営業や、旅行雑誌に掲載を交渉したり、津市観光協会とイベントに参加したりしている。
 学生時代、高知県では三重や津も知名度が低いことを知って、各地域の発展がなければ三重県全体の発展もないことを実感した。現在、津青年会議所などに所属しているが、自分が三重を発展させるための一つのピースになれたらと思い活動している。
 ──今後の展望を聞かせてください。
 岡田 ビジネスホテルが台頭しているが旅館は年々減っており、例えば、もし学校週6日制が導入されれば、家族旅行が増えるのかまたは減るのかなど、社会情勢の先が読めず不安はある。しかし会社に魅力があればお客様は来てくれるしここにしかないオンリーワンを創るのが私の仕事だと思う。
 今後、通販で扱う地元産品をより広く発信する方法を考え、〝地産外消〟により働く場を作りたい。私も白山で生まれたので、自分の娘や息子達も、町外に出て行かなくても生活の基盤が作れるまちづくりができたらと考えている。
 ──ありがとうございました。

伊藤代表(左)から賞状を受け取る中島さん

 1月23日、津市岩田の百五銀行本店で、『小さな親切』運動三重県本部=代表・伊藤歳恭同行副頭取=の第58回実行章伝達式が開かれた。
 これは心温まる親切な活動に取り組んでいる個人・団体に感謝と敬意を込め実行章を贈る全国運動で、今回は県内の5名・3団体に贈呈された。
 受章した津市大谷町の中島義行さん(62)は、「津カントリー倶楽部」で開かれ今年19回目を迎える全国身体障害者ゴルフ大会で、初開催時から運営ボランティアを行っている。
 「身体障がい者の方が努力をしているのを見ると元気をもらう。自分もゴルフをプレーしていて良かったと思います」と中島さん。
 他の市内の受章者・団体は▼乾誠太郎さん(桜橋)▼旭花サークル(桜橋)。

CDと目録を手に…(左から)森本さん、後藤会長、市長、教育長

 唱歌、「ああ忠犬ハチ公よ」=作詞・森本アキラ、作曲・多田逸郎=を通じて、津市久居出身で飼い主である上野英三郎・農学博士と忠犬ハチ公の絆を全国に発信し、津市のまちおこしにつなげようと活動する『ハチ公の歌を歌おう会』=後藤晃一会長=が1日、津市役所を訪れ、市内39の幼稚園と、77の小中学校にCD各1枚づつ、計116枚を贈った。
 贈呈式で後藤会長は「昨年10月20日に久居駅東口にハチ公と上野博士の一対の銅像が全国で初めて建立され、同時に『歌おう会』も発足。当日コーラス隊によって曲を披露した。昨今、社会では信頼や恩、絆が若干おろそかになっているがより良い教育のために、このCDを学校教材に活用して頂きたい」と挨拶。
 目録を受け取った前葉市長は「給食時の校内放送でかけさせて頂く。またハチ公の銅像がある渋谷と秋田県大館市との縁も深めていきたい。博士とハチ公の銅像が地域活性化の起爆剤になり、博士の功績を未来に引き継いでいければ」。
 また、中野教育長は「津市の子供たちの良いキャリア教育になる」とそれぞれ謝辞を述べた。
 森本さんは「次のステップは、3都市交流の第1弾として、5月くらいまでに渋谷区と大館市、博士の母校である東京大学11学部、さらに三重県下の全小中学校に贈り、博士とハチの絆や津市と三重県を広くPRしていきたい」と抱負を話した。 
 アマゾンで1500円で販売中。同会ホームページは、「ハチ公の歌を歌おう会」で検索。
 問い合わせは事務局℡059・224・8585。

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