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昨年末に「改革派知事の時代 地方から日本は変わったのか」という本を出しました。三重・北川、高知・橋本、宮城・浅野、鳥取・片山といった、個性派の知事たちが連携して活躍をした10年間を取り上げた一冊です。
三重県が登場する場面として、
①1998年4月、改革派知事連携で最初のグループ「地域から変わる日本推進会議」が玉城町で発足。宮川でフォーラムを開催。 ②2001年11月1日、志摩地方を会場に「チャレンジド・ジャパン・フォーラム2001inみえ」が開かれ、障害者の就労支援にIT(情報技術)を活用しようというテーマで、三重、大阪、熊本、千葉、岩手の県知事が集まる。
③2003年1月25日、四日市市での「シンポジウム三重・分権時代の自治体改革?自らの手でどう壁を破るか」で、マニュフェスト選挙の提案をする、といった出来事がありました。 いずれも、私自身、知事連携の担当者として三重県と高知県をつなぐ意識で参加をしているのですが、2001年の「チャレンジド・ジャパン・フォーラム2001inみえ」では、津市で市会議員をしている時にお付き合いのあった久居の谷井亨さんという、車いす生活をしながらIT関係で仕事をしている友人と再会できる機会もあって、特別職知事秘書をしていた高知県庁でも障害者のみなさんの就労機会をどう確保していくかという議論に加わっていました。
いまは、高知県庁を退職して民間の仕事をしているのですが、障害者のみなさんの就労を高齢者施設で支援するという、改革派知事たちの仕事を引き継ぐような事業を営む企業の顧問として、三重県と高知県をつないでいます。
四国ライフケア(大上達也社長)という高知市を拠点とする企業では、介護保険が始まった10年以上前から高齢者向けのグループホームや有料老人ホームを運営してきました。地方に住む人々の経済実勢に合わせた、安価で良質なサービスを提供しています。高齢化率が全国平均よりも10年間は早く進んできた高知ならではのノウハウを蓄積してきました。
高齢者施設を運営するうえで特徴的なことといえば200名以上のパートを含めた職員のうち、2割をこえる40名ほどが身体、知的、精神のいずれかの障害をもった職員だということです。
それぞれの障害の特性に合わせて、「短い時間での勤務にする」「高齢者の話し相手になる」「洗濯をする」「マッサージをする」といった働き方を、障害者自立支援法の枠の中でやっています。制度のなかで、就労移行支援、就労継続支援A型の事業所として認められています。
これまで、作業所的な仕事では月額数千円の工賃しか出なかった方が、老人ホームで働くことで安定した収入を確保できるようになって、当事者の本人と共に家族にも喜ばれています。 また、老人ホームとしても、障害をもった職員が加わっていくことで人員配置にゆとりが生まれて、忙しくバタバタと職員が走りまわることが少なくなりました。どちらかというと健常者よりも障害者の職員の方が、高齢者のみなさんとリズムが合う部分があるとも感じています。
高齢者施設での障害者就労の取り組みは、手探りでスタートして4年が過ぎていますが、おかげさまで大きな事故もなく満足の輪を広げてきました。
そんな高知県での実践をふまえて、四国ライフケアが三重県の企業をサポートして昨年1月にオープンした介護付有料老人ホーム「虹の夢とば」(鳥羽市鳥羽1丁目)でも、今年中には障害者就労の事業所として認められるように計画をしています。
安心した老後の暮らしをする介護つき施設が、障害をもったみなさんにとって安定して働く場にもなるということで、障害者就労に力を入れた改革派知事たちの思いを継ぎながら、地方と地方をつないで、この仕組みを少しでも仲間を増やしながら広げていきたいと願っています。
(元・津市議会議員)
2013年2月14日 AM 4:58