カキのおいしい季節である。カキフライもカキ鍋もおいしいけれど、レモンをキュッと絞った生ガキが一番だと思う。
 生ガキにレモンという食べ方を知ったのは、パリを舞台にした小説の中。レマルクだったかモーパッサンだったかの小説に、島のレストランへカキを食べに行くという場面があった。
 今のようにパリの地図を簡単に見られる時代でもなく、どうしてパリに島があるのか、その島のレストランがにぎわうのかが、不思議だった。島とはセーヌ川の中州のことで、パリの中心であるとは、ずっと後になって知ったことである。
 小説の中身はすっかり忘れたのに、レモンと生ガキが鮮明に記憶にある。そして、フランス人のようにカキを食べてみれば、美味しかったというわけだ。
 新鮮生食用カキが手に入れば、左手に軍手、右手にカキナイフで、カキ剥きをする。ただ、上手になる頃にはカキがなくなるので、次の機会にはまたカキ剥きが下手になっているのが残念だ。
 カキを生で食べるなら、体調の良い時に。カキは食当たりしやすい食品だから、注意が必要である。産地は的矢、浦村など。三重県には厳しい衛生基準のみえのカキ安心システムがある。三月初旬には「浦村牡蠣の国まつり」が開催される。カキ詰め放題をして焼きガキを存分に食べてこようかと思っている。(舞)