検索キーワード
高齢化が進む現代社会、三重大学院工学研究科教授の矢野賢一教授の研究グループが開発した福祉ロボット「アクティブギプス」が注目されている。
これは、上肢(手と腕)に障害のある人を対象にした上肢支援ロボットで、ロボット内に装備されているセンサーが筋肉のわずかな動きなどを感知し、動かしたい方向やスピードを計算して思い通りに腕の曲げ伸ばしをサポートするもの。
矢野さんは「日本が世界のどの国よりも先に高齢化が進み、かつ人口が減少する〝超高齢化社会〟に突き進んで行く」という事実を詳細なデータを元に分析。
その上で、「健康長寿社会の実現が重要な国家プロジェクトとなっている。また超高齢化社会では医療・福祉の現場で人手不足が問題となる。健康長寿社会や自立度の高い社会を実現するために、パワーアシストロボットを始めとする様々なタイプの福祉ロボットの研究、開発が急ピッチで行われている」と話し、その有用性を強調。
研究には、19歳の時に交通事故に遭い、肩から下が殆ど動かすことができない大石武司さん(36)も参加し、2009年から開発を進めてきた。大石さんによれば「このロボットを使えば健康な人と同じスピードで車椅子を動かし、移動できる」という。
このほかにも、手が不自由でも弦楽器が演奏できるよう支援するギター演奏支援自助具「響楽」や、パーキンソン病における手の震えなど、自分では制御できない不規則な体の動きを抑えて食事や絵が描ける支援ロボットも開発。
残った体の運動機能に制約をかけずに、機能不全の動作のみをロボットの力を借りて支援することで行動範囲が広がり、体の不自由な人の自立につながることを実証して見せた。
超高齢化社会を乗り切るために、これら福祉ロボットの果たす役割の重要性が高まっていくことは確実。さらなる性能向上に向け、同研究室の研究開発が加速しそうだ。
2013年4月11日 AM 4:57