仕事で入力をすることがある。きょうは、名簿の中に玄武という名前を見つけた。どんな人だろう。ごつい身体の強そうな青年だろうか。
 玄武は中国の神様の一つで、亀と蛇が合体したように描かれる。色なら黒、季節なら冬、方向なら北。暗くて、硬くて、強そうなイメージ。この名前の持ち主が、ひょうきんだったり弱々しかったりするとは思えない。
 だが、名前負けという言葉もあるし、名前と似つかわしくない人も珍しくない。どちらにしても、名前には親の思いがたっぷり入っている。
 名前も進化している。昔は漢字の意味を大切にしていた。それが、亜里抄だの江梨花だの、音を優先し、そこに漢字を当てはめるというパターンが増えた。近頃はますます難しくなっている。月と書いてルナと読む。緑夢と書いてグリムと読む。フリガナなしでは読めそうもない。
 戸籍法で人名に使える漢字が決められているけれど、読みには規制がないので、ルナもグリムも自由なのだ。ただ、毎度読みを説明する必要がある本人はどう思っているだろう。
 また、美姫さんや華恋さんが、若い美人ならば良いけれど、そうでない時にはどうだろう。「どんな漢字を書きますか」と聞かれることも多い。説明する時は辛いかもしれない。
 さて、玄武君は自分の名前を気に入っているだろうか。      (舞)