国は地方交付税の減額で地方公務員の給与削減を求めており、態度を保留している津市にも数億円単位の影響があるが市の貯金に当たる財政調整基金を一般会計に繰り入れて乗り切れる形にはなっている。国のやり方は地方分権の精神に反するが、津市を例にすると一般行政職の平均年収は約731万円(平成23年4月1日現在、平均43・8歳、時間外手当てとボーナス含む)と高水準なのも、この騒動の一因といえる。
 
 国は東日本大震災の復興予算捻出のため、国家公務員給与を平均7・8%減額している。それによって地方公務員給与との逆転現象が生じていることもあり、今年度の地方交付税削減で7月から地方公務員の給与削減を求めている。
 交付税削減によって約83億円の予算不足が見込まれる三重県では職員給与の平均5・5%を7月から来年3月まで9カ月間減額し、約53億円を捻出するとしている。県内の市町では、その状況や施策によって、削減を決定したり、反対に削減はなしと明言したりと対応が分かれている。津市は態度を保留しているが当初予算編成の段階で交付税の減額を見越し、財政調整基金からの繰り入れを行うことで職員給与の減額を行わなくても乗り切れるような対応はとっている。
 また、津市では管理職手当のカットや職員数の削減で人件費抑制に努めており、この4月に合併以来の目標であった2500人体制をほぼ実現したこともあり、平成19年度に約233億円あった人件費を今年度は約198億円にまで圧縮している。しかし、その一方で職員給与自体は、いまだに高止まりのままで、その点を指摘する声が地元からもあるのは事実だ。
 津市がホームページ上で公開している市職員の給与状況などをまとめた「人事行政の運営等の状況について」の現状見られる最新データである平成23年度版によると市職員の大部分を占める一般行政職は、基本給に各種手当て(時間外も含む)を合計した1カ月あたりの平均給与が49万1133円。民間のボーナスに当たる期末手当と勤勉手当の平均支給額は142万1千円。給与月額12カ月分と期末・勤勉手当を合計すると平均年収は731万4596円となる。平均退職金額は2152万円。
 『地方分権』へ向かい様々な施策が進められる中、半強制的に地方公務員の給与削減を迫る今回の国のやり方は、その精神に反する。ただ、その背景にある問題を認識せざるを得ない数字ともいえるだろう。
 前述のように津市では財政調整基金からの繰り入れで、市民サービスへの影響も出さずに今回の騒動を乗り切れそうな形だ。しかし不景気が続く中でボーナスや退職金のない中小企業で働く人もそう珍しくなく、その収入から市民が捻り出した血税によって市政運営が成り立っていることを踏まえると、市民共通の財産である基金からの繰り入れで人件費削減を回避することに市民の理解を得られるのかという見方もある。
 今回の騒動はいささか理不尽とはいえ、今後地方分権の実現を目指すのであれば地方の現状を正確に捉えた職員給与のラインがどこかをもう一度見直すことは避けて通れない問題であるし、議論を深めていくきっかけにはなったといえる。 (この稿6月10日現在)

追記=津市は地方交付税減額分を補うため、一般行政職の給与平均を3%前後削減する案を9月議会に上程するとしている。

「常若の国 伊勢」を手に…光野さん

 NPO俳句みえ=光野及道主宰、津市久居本町=は月刊の会員向け俳句集「初時雨」の創刊20周年記念誌『常若の国 伊勢』を発刊した。A5版106頁。
 俳句みえは平成5年、旧久居市文化協会俳句部門としてスタート。単なる同人誌仲間ではなく「高齢化社会をどう過ごすのか?」という観点から話し合い、俳句の趣味を持つ仲間同士がまちの役に立つ、後世に残るものを作ることを共通の目標としている。平成10年にはNPOに組織変更し現在までに会員は240名に拡大。各地各所での吟行俳句で研さんを重ねている。
 その日々の活動を発表する場でもある初時雨は、創刊号からしばらくは全て手作りでの発刊が続いたが、号を重ねるうちに本格的な印刷物となり会員増加と共に出稿作品数や頁数も増えている。
 初時雨20周年記念事業として4月14日には伊勢市駅前公園広場にて芭蕉の「尊さに皆押あひぬ御遷宮」という句が刻まれた句碑も建立している。
 それに続く形となる今回の記念誌は全5章構成。第1章を飾るのは、三重県在住で伊勢神宮についての様々な著作を出版しているライター・千種清美さんによるエッセー『常若の国、伊勢』。8年にも及ぶ綿密な取材に基づき、遷宮にまつわる様々な行事を丁寧にレポートしているので、読むだけで10月と間近に迫った遷宮について知識を深められる。残る2~5章には、昨年の伊勢神宮献営俳句を始め、四季や県内の様々な場所をテーマにした数多くの俳句を収録している。
 また、この記念誌の発刊記念イベントとして、この本を希望者へ一冊2500円で頒布する代わりに、その全額を俳句みえが岩手県・宮城県・福島県の被災地の小学生を対象に行う「花の俳句絵復興賞」入賞者へ寄贈する。限定100冊。
 光野さんは「俳句だけでなく遷宮をテーマにしたエッセーもあるので色んな方に楽しんで頂けるはず。被災地の復興支援にご協力を」と呼びかけている
 問い合わせは事務局℡059・255・2651。

美しく咲いたあじさい

 津市戸木町の伊勢温泉ゴルフクラブ内にある福祉と環境を融合した花園「かざはやの里」で6月30日まで恒例の『あじさいまつり』が開かれている。
 老人福祉施設や障害者福祉施設を運営する正寿会=伊藤滋之理事長=が平成16年に同ゴルフクラブの約半分の土地を改造して作った同施設はアジサイ園2万5000㎡に56種7万5千株が植えられている。
 花園の管理は同会が運営する身体障害者施設「風早の郷」利用者たちが昨夏より実施。ネットでシカの食害からアジサイを守りながら、枝の手入れや草刈りなどを行ってきた。
 園内は早咲きの「青手まり」を始め、全体的に見頃を迎えており、強い日差しと少雨にも負けないアジサイの美しさが楽しめる。
 入場には利用者たちへの協賛として18歳以上は300円が必要(18歳未満や障害者手帳を持っている人は無料)。開園は8時~18時。
 問い合わせ℡059・255・5755。

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