近鉄江戸橋駅前のコンビニ前にそびえたつ放置自転車の山。その高さは1・5mにも及ぶ。近年、津市が駅東西に有料駐輪場を整備したためロータリー周辺の放置自転車は激減したが、駐輪台数は不足気味。更に有料化を嫌う者が駅周辺の店舗やマンションの駐輪場などへ無断駐輪しこのようなトラブルが発生。自転車利用者のモラルが問われている。 

 江戸橋駅周辺に無料駐輪場があった頃、三重大生が駅から学内への通学に使っているものを中心に無秩序に停められた自転車が歩道にまで溢れかえっていた。
 そこで津市は平成23年10月に駅東側、平成24年4月に西側に市営の有料駐輪場を整備。その結果、駅前は美しくなり、放置自転車の撤去台数も激減したが、そのしわ寄せとみられる現象が発生し、問題化している。
 有料駐輪場を利用するには1日限りの一時預かり料金100円を支払うか、大学生なら月1600円~の定期料金が必要。それを嫌う者たちが有料化を境に、駅周辺に無断駐輪し始めたのだ。その最たる場所が江戸橋駅前にあるコンビニの店舗前の駐輪所だ。無断駐輪の後、放置されたり道路まではみ出そうな自転車が積み重ねられ、今では高さ約1・5mの山として、そびえ立っている。この他の店舗やマンション・アパートなどの駐輪スペースに無断駐輪されるケースも。
 また、ある周辺住民は、「明らかに有料駐輪場の台数が不足している。市の見込みの甘さも一因だ」と指摘する。その言葉の通り、現在、駐輪場の定期契約待ち状況は300台1年半待ち。東西合わせて約1200台という駐輪台数は、以前あった無料駐車場とほぼ同じだが現状を見る限りでは十分な数とも言い切れないのも事実だろう。
 江戸橋駅周辺は自転車放置禁止区域で、違反自転車は市が撤去しているが民有地の放置自転車は法律上、持ち主の財産として扱われるため、放置されている土地の地権者が張り紙などで警告した上で撤去しなければならない。しかも、撤去費用は地権者持ちと、現状では泣き寝入り状態だ。
 この問題が発生する原因をつくったともいえる津市も〝見て見ぬ振り〟では済まされないが、最後に問われるのは自転車に乗る者のモラル。自らの行いを反省し、改善を期待したい。