検索キーワード
津商工会議所の『津の観光文化を発展させる委員会』=小柴眞治委員長=は、工場見学や産業体験ができる津市内の企業を紹介する『産業観光ガイド』を従来の印刷物から、より広域に発信できるウェブ版へと改訂し今年1月より公開している。産業観光は全国的にも注目を集めており、誰もが知るヒット商品から知られざる逸品まで多彩なものづくりが行われている津市の魅力を全国にPRする際に大きな力となりそうだ。
津商工会議所の「産業観光ガイド」は元々、平成20年にパンフレットとして発行されたが、情報をより広く伝えられるようにと平成22年より同商議所の「津の観光文化を発展させる委員会」=小柴眞治委員長=が改訂作業に入っていた。その結果、より多くの人に情報を届けられるウェブサイトという形で今年1月にリニューアルされている。
産業観光の盛り上がりに伴い、登録企業数も以前の10社から26社へと増加。サイト上では各社の見学や体験できる内容・所要時間・見学条件など詳細情報が確認できるほか、食べる・体験する・買うといったカテゴリー別で検索もできるのも特色の一つといえる。
6月18日にはガイドに掲載されている企業の魅力を再確認するため、同委員会の小柴委員長を始めとする委員や同商議所職員ら20名が掲載企業の中から5社6カ所=㈱松阪鉄工所(雲出工場・本社工場)・井村屋グループ㈱・三重テレビ放送・パイロットインキ㈱津工場・㈱岩出菌学研究所=を一日かけて見学した。
全国的に有名なあずきバーなどの生産工程が見学でき、超お値打ちな販売コーナーを完備している井村屋グループや、テレビ放送の現場を見学しながらカメラマン体験ができる三重テレビ放送、免疫効果を高める姫マツタケを筆頭に様々なキノコを栽培している岩出菌学研究所と、各社共それぞれ魅力的で参加者たちは移動する度に新たな発見をしていたが、特にその中でも参加者から印象に残ったという声が多かったのが松阪鉄工所の雲出工場=雲出長常町(津鉄工団地内)。
同社は建設・配管・電設などの作業工具・機器や工作機械治具(刃物や工具を加工物の正しい位置に導く補助工具)の県内唯一の生産メーカーであり、オリジナル工具を含め、多品種の少量生産で知られる『ものづくり企業』。鉄とアルミ製の工具を製造している雲出工場では県内に、ここともう1社にしかない熱感鍛造ハンマーという機器を使い1150度にまで熱した材料をエアハンマーで鍛えながら加工する。一人前になるのには10年かかるという熟練を要する作業ということもあり、参加者たちは真っ赤に焼けた材料をエアハンマーで叩く光景や、その時に出る地響き・音を介し、五感でものづくりの素晴らしさを感じていた。
また、年間2億4千万本の水性ボールペンを製造しているパイロットインキ津工場=津市片田町(片田工場団地内)=も印象に残ったという声が大きかった。この工場では、ボールペンの頭頂部でこすると書いた文字が消える同社の大ヒット商品『フリクション・シリーズ』を世界で唯一生産すると共に、このペンに使うメタモインキもここで生産している。また、総生産量の7割を世界各国に向けて輸出し、品質の良さから欧米など書類にサインをする文化のある国で特に高い評価を受けている。そのため、商品表示だけでも多種多様の言語が使われており、超多品種製造なので、職人技頼みの工程も少なくない。製品のサイズに応じた小型の作業ロボットの軽妙な動きと、職人技が同居する鮮やかな作業に参加者たちは感動していた。
この日の行程を終えた小柴委員長は「津市の企業は高い技術を持って発展してきたことを改めて感じた。ガイドをウェブ版に改訂し登録企業も増えたので、もっと沢山の人に来てもらえたら」と展望に期待する。同商議所の山口修専務も、「製品を見ているだけでは分からないものづくりの凄さを目の当たりに出来る。また津から世界に出て行っている商品があることを知って頂きたい」と産業観光の魅力を改めて語った。
もちろん、この日見学した以外の21社もいずれも劣らぬ魅力を持った企業ばかり。学校の社会見学だけでなく、家族や小グループで見学できる場所もあるなど企業によって様々なスタイルで楽しむことが出来る。
今後、同商議所では旅行業者の担当者向けの見学会を開くなど、新たな観光資源としての魅力を秘めた産業観光を様々な形で発信していく。その中で、この産業観光ガイドが果たす役割は一層大きくなるだろう。
産業ガイドhttp://www.tsucci.or.jp/sankan/
サイトの問い合わせは℡津228・9141へ。
2013年7月4日 AM 5:00
<< 原田さんの栄誉を称え 黄綬褒章受章祝賀会を開催 <津商議所> 雲元氏がアストで講演 見えない力の体験談 2名が奇跡の回復語る >>