手斧削りの梁づくり 木神楽の前田さんが

 伝統工法と自然素材にこだわった家づくりに取り組む『㈱木神楽』=高橋一浩代表・津市榊原町=では今ではすっかり珍しくなった伝統的な大工道具のヨキと手斧(チョウナ)で、梁の削り出しを行った。
 作業を行ったのは同社の大工・前田宣寿さん(26)。作業工程としては製材していない丸太の表面を小型の斧のヨキで、ある程度そぎ落とし、柄の曲がった鍬状の刃物の手斧で表面を少しずつ削り出しながら成形していく。その際に、不規則な凹凸のある粗い削り目が出来るのだが、独特の風合いがあり、年月を増すごとにその味わいが増していくのが魅力といえる。
 しかし、作業は相応の技術が問われる上にかなりの重労働。一本仕上げるのに熟練の職人でも丸一日は掛かってしまう。そんな理由から、高度経済成長期頃を境に建築現場から姿を消し今では技術を受け継ぐ職人はほとんどいない。
 前田さんは始業時間より早く出勤し、先輩の削った端材を参考に練習するなど、少しずつ技術を磨いてきた。この日は高橋代表の父親で現役時代には腕利きの大工として活躍した友治さんが時折、手本を見せながら、前田さんが国産のマツ材を丹念に削り出した。
 前田さんは「この技術を知らずに大工はできないと思った。弟子を取った時には教えられるようになりたい」と瞳を輝かせる。
 この後、完成した梁は風合いを生かし、あらわしの梁として建築中の家に使われた。