講演する大川吉崇氏

 8月28日、アストプラザのアストホールで農林水産省主催の和食文化〝再考〟シンポジウムが開かれた。
 昨年、政府が「和食 日本人の伝統的な食文化」のユネスコ無形文化遺産への登録を申請したのを機に、国民一人一人が改めて和食文化への認識を深め、次世代に日本全国の和食文化を維持・継承していくことの大切さについて考えるのを目的に、全国9カ所で催されるもの。食品業界・教育関係者や主婦など100名以上が来場した。
 最初に、学校法人大川学園理事長の大川吉崇氏による基調講演が行われた。
 大川氏は、「三重県の食生活と食文化」と題して、津や伊賀など県内各地域の雑煮や、馴れずしの具材や作り方などを写真を交えて詳細に紹介。それぞれの料理は、歴史や地形の影響を受けているとし、三重県は東西の食文化の混合地帯であると語った。
 続く事例発表では、愛知大学地域政策学部教授の印南敏秀氏が「例えばハゼは昔、愛知県の三河湾沿いなどで正月料理に使われ家族で釣りに行ったりしていたが、今は高級食材となり、中国から輸入されるようになった。里や山の食文化は継承されているが、海は大変な状況になっている」などと話した。
 次に、飛騨高山郷土料理・女性史研究家の神出加代子さんが、自らが編集した食や女性の歴史年表を紹介し、「食は時には人の気質や体質、歴史までも変えてしまう。郷土料理は、その地域の歴史・風土・暮らし方を凝縮したもの」と改めて食の重要性を語った。
 最後に県立相可高校食物調理科教諭の村林新吾氏が「高校生レストランは高校生が作っているから良いのではなく美味しいから来てもらえる。私たちは食の文化を守り、出汁をきちんととっている。インスタントの出汁は美味しすぎて食材の味が消えてしまう。
 戦後、2代分、食べることに必死で和食の文化を考える暇がなかった。若い子達に教える前に、教える人達自身が先輩から教わって勉強しなければならない」と話した。