指揮・芸術監督の星出豊氏

 三重オペラ協会と三重県文化会館が主催する三重オペラ協会第16回オペラ公演「いのち」が28日16時~、29日13時半~(開場は各30分前)、三重県文化会館中ホールで開かれる。助成=(公財)岡田文化財団、(独法)日本芸術文化振興会。後援=三重県、県教委、津市、津市教委、名古屋芸術大学、ほか。
 長崎の歴史の中に原爆被害を位置づけるという、他に例を見ない画期的な3幕、3時間に及ぶ本格オペラで、被爆した人々の生々しい生き様を通じて平和の大切さ、いのちの尊さについて日本はもとより、世界に広く訴える。
 芸術監督である星出豊氏が被爆者との交流を通じ、15数年を費やして書き下ろした渾身の脚本に、津市在住の錦かよ子さんが作曲し、09年に完成。10年には長崎でピアノによる抜粋の試演会が開かれている。
 今回の舞台では、台詞は被爆者の言葉に手を入れることなく、方言のまま採用し、リアリティを高めることに留意したという。
 また、星出氏自身が指揮を務め、舞台美術、照明などは日本が誇る舞台家陣が賛同、参画。出演・演奏は東京からのゲストに加え、三重オペラ協会、三重フィルハーモニー交響楽団、合奏団「うたおに」、津児童合唱団など、地元音楽団体が総力を挙げて上演。見ごたえ十分な作品と言える。
 三重公演に先立ち、8月31日には長崎県で地元キャストにより初演され、大きな反響を呼んだ。
 ストーリーを簡単に説明すると…作品の舞台は1945年の長崎。医師の松尾邦夫は原爆投下の当日、福岡にいて難を逃れる。しかし長崎に戻ると変わり果てた街の姿に唖然とする。
 松尾は病院で勤務するが看護師の一人に中沢夏子がいた。夏子は自身も被爆の後遺症に苦しみながらも、原爆症の患者達に対して献身的な看護を続けていた。やがて心が通じ合うようになる二人。しかし、松尾の求婚に対して何故か話をそらす夏子。そんなある日、夏子が病に倒れる…
 このオペラは松尾の回想により夏子の被爆体験談、そして生き抜いていこうとする人々に襲いかかる戦争の悲劇を夏子の代わりに語っていく。
 プレミア席7000円(指定席・プログラム付き)、指定席5000円、自由席は一般4000円、高校生以下2000円。未就学児入場不可。県文チケットカウンター、エムズネット、県内レコード商組合加盟などで発売中。
 問い合わせは県文チケットカウンター℡059・233・1122(10時~19時)。月曜定休、祝日の場合は翌日休。