犯罪・非行に手を染めた保護観察を受けている人たちの更生を手助けする『保護司』だが、対象者のプライバシーを守るために自宅を使って面談を行うことなど活動のハードルが高く、なり手不足が全国で深刻化している。更に少子化で非行件数が減少していることから津市内でも保護司になったものの、5年もの間、全く対象者がいないという人が7割近くを占めるなど、後継者育成に新たな課題も発生している。 

 法務大臣の委嘱を受けた特別国家公務員である「保護司」の定員は、全国で5万2500人だが、今年1月1日現在で4万7990人。これは平成以降、最低の数字で厳しい現状がうかがえる。津市でも定員114名に対して100名と定員を割り込んでいる。
 犯罪や非行に手を染めた対象者の更生を担う保護司は最低限の費用弁償はあるものの、無給でほぼ完全なボランティア。保護観察所からの支持で担当地域に暮らす対象者を受け持った場合、プライバシーに最大限配慮しながら、人目につかない自宅に招いて面談を行いながら生活を見守る。そのような職務の内容から、家族の反対にあって、志があっても保護司になるのを断念せざるを得ない人も少なくない。
 また必要があれば、昼夜を問わず対象者の相談にのったり、対象者1人当たり月2回の面談を行い、保護観察所に報告書を提出するなど、職務と責任の重さも大きなハードルとなっている。
 一方、社会的な情勢は、少子高齢化の影響による青少年の非行減少で、平成16年に931人いた対象者数が今年の8月1日には460人にまで減少。津市内でも同年比較で145人から69人へと激減。犯罪・非行の減少は素直に喜ぶべきことだが、これが保護司の育成にとって新たな課題を生み出している。
 関わり方次第で大きく変わる可能性を秘めている青少年の更生に関わることは保護司としての達成感が得られる貴重な経験だが、その機会に恵まれない保護司が増えているのだ。
 津市でも経験5年未満の保護司で対象者を持ったことがない保護司が69・6%を占めているという状態。諸条件を乗越え、熱い気持ちで保護司になったものの、〝醍醐味〟を味わえないまま仕事を終える人もおり、モチベーションの維持も大きな課題に。
 また、対象者数の減少とは裏腹に地域間格差が拡大しているのも問題。長年対象者がゼロという平和な農村地域と比べると、市街地では一人で6人もの対象者を受け持っている保護司もいる。これらの地域では一人の保護司に対象者が集中し激務になりがちなため、なり手が少ないという悪循環も発生している。
 津保護司会会長の小渕徹夫さんは、「対象者の減少自体は非常に良いこと。保護司の数の減少だけが問題となっている訳ではない」と説明。そして「犯罪・非行は幼児期の虐待や児童期のいじめなどが原因で引き起こされる。予防活動も保護司の重要な職務なので、これからは保護司と、学校・民生児童委員・自治会などが常に情報交換をしながら、地域が一丸となって犯罪・非行が出ない風土をつくっていくべき」と、より広い視点に基づく保護司活動のあり方を語る。
 一方、国は来年度予算から、保護司が1人当たり年額約2万円を支払っている保護司団体の会費の補助や自宅で面談できない保護司のための「更生保護サポートセンター」の設置を全国で本格化。ベテラン保護司と新人保護司で当たる「複数担当制」を推進し、後継者育成と負担軽減を狙う。
 地域社会の安心・安全を影で支える保護司は非常に重要な存在。後継者育成に向けた公的なサポート体制の確立が求められよう。

 津西ライオンズクラブと岩田川物語の会が15日に開く予定だった「第19回岩田川ハゼ釣り大会」が台風の為9月28日に順延開催される。競技委員長・西田久光℡090・3933・6061

毎年好評の親子を対象とした歴史教室(昨年の様子)

 「津市観光ボランティアガイド・ネットワーク協議会」=西田久光会長、事務局・津市羽所町アスト津2階 津市観光協会内=に所属し、津の歴史・観光案内人として活躍しているボランティアガイド全14団体の魅力を紹介する新コーナー(不定期連載)。
 第2回目は津藩祖・藤堂高虎公の顕彰グループ『ときめき高虎会』=村田修代表(77)=を紹介。
 同会は平成8年、津の歴史を学ぶ講座を受講した故・鈴木美朗さん、松原秀典さん、村田さんが発起人となり発足した。現在の会員は市内をはじめ松阪市、愛知県、岐阜県などに在住の57名。
 〝高虎のことをもっと知りたい、皆さんにも知ってほしい〟という思いで、三重大学教育学部教授の藤田達生さんや、歴史作家の横山高治さんを講師に迎えて講演会を催すほか、夏休みに高山神社で親子対象の歴史教室を開き、紙芝居を披露。毎年好評を得ている。
 また、ガイド活動では、津城の石垣の強度向上のため採用された技法「算木積み」など、高虎公の優れた築城技術やその原理を丁寧に説明し、多くの人に伝えている。
 会員らは「ガイド活動では、昭和20年の津空襲で歴史的な建造物などが焼失し視覚に訴えるものが少ないのが難点。紙芝居が終わったあと、子供からこちらがたじたじになるような鋭い質問があると、やりがいを感じます」と話している。また村田さんは「今後も津市の活性化と、NHK大河ドラマ『藤堂高虎』を誘致する会と協力して大河の誘致を目指していく」と抱負を語った。 

高虎の関ヶ原の戦い 28日・センパレで歴史講演会

 「ときめき高虎会」は、28日13時半から津センターパレス2階会議室1で講演会「高虎と関ヶ原の戦い」を開く。
 今回の講師は日本近世国家成立史の研究者で、中世から近世への移行過程を、国家や地域社会からトータルに明らかにすることを目指している三重大学教育学部教授の藤田達生さん。著書に『江戸時代の設計者~異能の武将・藤堂高虎』、『日本近世国家成立史の研究』、『本能寺の変の群像中世と近世の相剋』、『謎とき本能寺の変』、『伊勢国司北畠氏の研究』、『小牧・長久手の戦いの構造 戦場論上』、『近世成立期の大規模戦争 戦場論下』などがある。
 入場料は会員は無料、一般は300円(高虎公を顕彰し、津市の町おこし活動に充当)。
 同会や講演会に関する問い合わせは、村田さん℡059・232・2689へ。

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