今回、米国の金融緩和縮小が延期されました。きっかけは今月6日発表の8月雇用統計が市場予想より低い数字であった事や、G20で新興国から強い懸念が出た事などです。
 ただし今後、米国景気の強い指標が出れば金融緩和縮小は12月にも実施される予定です。その後の金融緩和中止も来年半ばから年末に、金利引き上げは2015年後半に延ばされる予定となります。
 いずれにしてもリーマンショック後5年が経過し、世界的な金融緩和から金融引き締めに転換しようとしています。金融緩和時期には世界の投機マネーは経済成長の低い先進国から成長の高い新興国にお金が流れ、新興国の株式・債券・通貨は上昇してきました。
 しかし、今年からその流れに変化が出てきています。新興国の経済成長率の低下により今年前半から株価が下落し始めています。特に、5月下旬の米国の金融緩和縮小発言からは新興国の金利上昇による債券の下落と先進国への投機マネー流出による通貨下落のトリプル安となって加速しました。
 現在は米国の金融緩和縮小延期もあり、多少戻ってきています。いずれにしても世界経済はリーマンショックやギリシャ危機の状況からは回復してきましたので、金融緩和はいずれどこかで引き締められます。投資家は金融引き締め時の投資対象に変える必要があります。
 まず経済が回復すれば、企業業績も好転するために株価は上昇します。金利上昇による懸念は、景気の腰折れを伴うほどの金利上昇でなければ容認されます。ただし金利上昇段階では債券は下落します。これまでの債券上昇相場が終わり、株式は低迷から回復相場が始まっています。
 今後の相場を予測する場合に、2003年から2006年の金利上昇に伴う株式上昇相場が参考になると思われます。
 この時期米国の長期金利は3・5%から5%強、日本は0・4%から2%強に上昇、株価では米国ダウが1・5倍、日経平均は2・3倍にそれぞれ上昇しています。
 この間、世界の株価でみると先進国の上昇率は高く新興国は前半の上昇が鈍くなっています。今回も今後の予測される金利上昇でリスク資産が新興国から先進国に流入する分、新興国より先進国の方が前半は上昇率が大きいと思われます。 為替においては、円とドルやユーロの関係では、金利差の拡大に伴い円安が、金利差縮小に伴い円高がこれまで同様予測されます。 現に2003年から2006年においては、前半円高が後半円安となっています。
 今後の世界経済の中で、最も回復の早い国は米国の次に日本(アベノミクスの成功)になると思われます。これらはともに内需の強い国と言えます。米国はシエールガス革命が、日本は2020年東京オリンピック開催が背景にあります。
 ただ注意も必要です、12月にも予測される金融緩和縮小実施時の、今回の様な相場下落、特に新興国の脆弱さの再現により先進国への影響、シリア情勢などの悪化、中国の理財商品増加問題などです。
 まだまだ市場予想とは違ったサプライズが待ち受けています。そのために一方向に商品を傾けるのはリスクが高くなります。いろいろな投資手法がありますが、現在では一般の投資家でも簡単に理解できる商品が開発されています。そのためにも勉強してください。投資コストを下げてください。
 アベノミクスにより今後2年間物価上昇率2%が目標になりました。これまでのデフレ社会から小幅ですがインフレ社会になろうとしています。これまでの生活がいろいろな面で大きく変わる可能性があります。 インフレではお金の価値が減少し、モノの価値が上昇します。これまではお金そのものにデフレ分だけ価値が上昇しましたが、今後はインフレ分だけお金の価値は減少します。お金の運用に真剣になってください。
 1989年末以降、日本株価は3万9000円から7000円まで大きく下落し続けました。この間、日本の投資家はほとんど儲かっていません。この時期は大幅な円高であっても海外株式に投資すれば、大きな儲けとなっていることに気付いている投資家はほとんどいません。誰も円高が進む状況で、海外商品を買い付けるリスクを嫌ったからです。
 最近では為替の変動に伴うリスク軽減として為替ヘッジ付の商品が数多く見受けられるようになりました。本当に色々な商品が出ていますので、これまで難しかったリスク変動の軽減が簡単になってきています。これから有価証券運用が面白くなります。資産運用セミナーに参加されたい方は連絡ください。連絡先090・5008・0874。中日文化センターで第3木曜日午前10時から12時までと第4木曜日夜間7時から8時半まで実施する予定です。 (資産運用アドバイザー 宮﨑 英壽)