小型ヨットで太平洋横断中のニュースキャスターと全盲セーラーが救出されたニュースでみなさんもこの言葉を耳にしたことでしょう。世界一とも言われる洋上離着水能力をもつ国産飛行艇と、志も練度も高い自衛隊員によって成し得た救出だったというのも成功要因のひとつだったようですね。私も過去に何度かそんな感情を抱いたことがありました。
 今年のゴールデンウィークに北アルプス滑落事故がテレビニュースで報道されました。折りしもそのとき私も北穂高登山中で、その事故に遭遇していました。上のほうで1名まさに滑落しているのが見え、なかなか止まりません。
 止まったかなと思うとしばらくして上のほうから「2名滑落」と伝言が届きました。登山者も多かったため、そのまま眼下の山小屋までその伝言は容易に伝わったことが想像できます。
 私は登り続け、30分後に滑落者のそばを通るときには、既にたまたま近くにいた数名の人たちが手当てをしてヘリを待つばかりの状況になっていました。
 その後、1時間以内にヘリは彼らを救助して飛び立っていったと思います。事故を起こしてしまった側の問題はさておき、この日本には国民を守るシステムや仲間を助ける利他の心がしっかりと存在するということを実感いたしました。
 またCS(顧客満足)日本一の自動車ディーラーに研修に行ったときのことです。そこに存在したのはCSに対する手法やこだわりではなく、スタッフの価値観や道徳観など、もっと深い人としての生き方を教育する風土でした。CSは単にその結果、生まれていたものに過ぎません。
 そのとき私が感じたのは、そのディーラーのすばらしさはもちろん、商売できれいごとやバカ正直なことをしていても、ちゃんと理解し応援してくれるお客さまが必ずいるという幸せな国に私は生まれたのだという事実です。
 そしてJALを奇跡のV字回復させたあの有名な稲盛和夫・京セラ名誉会長の言葉をしてもそうです。
 「正・不正や善・悪などは、人間の最も基本的な道徳律であり、これに則れば、経験や知識がなくとも、そう大きく間違った判断にはならない」。つまり人間として正しいことなのか、悪しきことなのかを判断基準にして経営されてきました。
 ・利他の心が存在し、また技術もインフラも整っている国、日本
 ・正しいことを行い、それが報われる国、日本 そんなすばらしい国のもとで得た利益を、税という形で還元する。
 「この国の国民であってよかった」
 そう思い、正しく働き、たくさんの納税ができる経営ができたら、きっとすばらしい人生だなと思いませんか?
(前川 政輝 ㈱マック社長、津法人会会員)