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夏の椿は数センチほどの緑のげんこつ型の実をたくさん付けていた。ところがこの間見たら、その実が全てはぜて、三つに分かれ黒く干からびた皮だけが枝にあった。いつの間に種が落ちたのだろう。
子どもの頃、秋になると、祖母と一緒に椿の種を拾いに行ったものだ。公民館の近くに、ヤブツバキのトンネルのような坂道があった。そこが椿の種を拾う場所。湿った土の上に黒い種が散らばっていた。
拾ってきた椿の種を木綿の袋に入れて軽く叩き、殻を割る。すると種に含まれた油が布から浸み出てくる。その布袋で床を磨くのである。自然素材のフローリング用ワックス。床磨きは祖母と私の仕事だった。
また、椿の実をコンクリートで擦って穴を開け、笛を作ろうともした。私はいつも中途半端で投げ出して、笛を鳴らすことができなかったが、椿油特有の匂いが、今も記憶にある。
椿油は、昔から髪油として使われ、現代でも椿油を配合したヘアケア製品が売られている。資生堂のTSUBAKIというブランドは、五島列島産の椿の種から油を搾っているとホームページにあった。
庭の椿の種を集めたら、油を取り出すことができるだろうか。精製が難しいなら、昔のように床磨きに使ってみるのもよいかもしれない。スローでエコな暮らし方。 (舞)
2013年10月31日 AM 4:55