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障害者雇用率が全国ワースト3の三重県では、現状の改善が大きな課題となっているが、11月17日13時半~16時半にアスト津4階のアストホールで産官学連携で新たな雇用創出をめざす『ひろげよう!はたらくよろこびフォーラムinみえ』が開催される。主催=三重大、津市、県教委、稲葉特別支援学校。社会に必要な能力と技術を持った人材育成や、受け入れる側の企業の体制づくりなど、実践的な事例を交えながら学ぶ。
従業員数が50人以上の会社には、そのうち2%以上の障害者雇用が義務付けられているが、昨年6月1日現在の県内の障害者雇用率は1・57%と全国ワースト3。過去には2年連続で全国ワースト1になったことがあるほど〝低空飛行〟を続けている。これを受け、三重県労働局ではホームページを活用した情報発信に力を入れるなど、改善に向けた取り組みに注力している。
ただ〝数字ありき〟の雇用率改善だけでは問題の根本解決とならないばかりか雇用される側の障害者と雇用する側の企業とのミスマッチが予期せぬ不幸な結果を招いてしまうケースも少なくない。従って、問題の解決には労働現場で必要とされている能力や技術を持った人材を育成する『学』、障害者の特性を理解しつつ適切な労働環境を提供する『産』、両者を支えていく『官』による三者一体の取り組みが必要不可欠。
そこで、11月17日に開かれる『ひろげよう!はたらくよろこびフォーラムinみえ~企業、行政、大学と一体となった障がい者雇用創出とその取組』では、主催の三重大学地域戦略センターなどが中心となって、問題解決に向けた現実的な方法を提示していく。
当日はまず、障害者の自立に向けた施設の経営革新を軸に、ビジネスに挑戦する施設や、企業で働く障害者の紹介などを行っている季刊誌『コトノネ』を発刊している㈱はたらくよろこびデザイン室編集長・里美喜久男氏が『障がい者雇用とメディアによる情報発信の有効性』を演題に講演。全国の先進事例を交えながら、どのような形で障害者たちが社会で活躍しているのか、また環境づくりに取り組んでいるのかを紹介する。
続く、座談会「障がい者雇用の新しい試みと、経営の真価」では、三重大副学長の西村訓弘教授を座長に、全従業員の27%に当たる障害者を雇用している四日市市のパン製造販売会社「コーンブルメ」社長の樋口豪男さん、障害者を職員として雇用しており、障害を持つ学生たちも学び易い環境づくりを実践している三重大の教育学部准教授・菊池紀彦さん、障害者雇用カフェの開設に向けて尽力するなど様々な施策を展開している三重県雇用経済部障がい者雇用推進監・瀧口嘉之さんが参加。障害者施策については、ともすれば理想論や感情論が飛び交いがちだが、この座談会では3人が産官学それぞれの立場から実践する取り組みを紹介したり、客観データに基づく冷静な視点から障害者雇用の明日を導き出す。
そして今後、県内でどのような道筋を立てて人材育成や職場環境づくりに取り組んでいけば良いのか、という大きな課題に現実的な解決策を示していく。
ひと口に障害といっても身体、知的、精神と3区分に分かれており、それぞれ全く違う特性を持っている。一人ひとりの障害の重さも千差万別なので、企業で働くという選択肢が必ずしもベストとはいえないが、特別支援学校の卒業生の大部分が社会に出るチャンスすら与えられていないという現実がある。然るべき教育や職場環境さえあれば、十分に活躍できる力を持った人材が埋もれてしまっているのは社会的に大きな損失といえるだろう。
近年、CSR(企業の社会的責任)という考え方の広まり方からも、障害者雇用への関心は高まりつつある。今回のフォーラムは、実践に移せる具体的なヒントやアイデアが得られる貴重な場になりそうだ。
参加費無料。聴講希望者は会社名と所属先、〒、住所、、役職名、氏名、座談会で質問したいこと、当日の交通手段を明記し、三重大学地域戦略センターFAX059・231・9899へ申し込み。詳細などのフォーラムに関する問い合わせは三重県立稲葉特別支援学校津221・1221、県教委特別支援教育課℡津224・2961へ。
2013年10月31日 AM 5:00