秋の風に誘われて、秋を感じる街道歩きをしてきた。紅葉にはまだしばしの鈴鹿峠である。
 新名神高速ができてからの国道一号線は、車の数もめっきり減って非常に走りやすい。沓掛の信号で国道を逸れて、旧東海道に車を進めた。
 鈴鹿馬子唄会館に立ち寄ると、木を活かした造りの建物に鈴鹿馬子唄が流れていた。坂は照る照る鈴鹿は曇るあいの土山雨が降る。
 車はゆるやかな坂道を登りつつ、坂下宿に。旧街道にしては広い道である。本陣などの建物は見当たらないが、通りを挟む家々は宿場町の風情であった。車を降りて街道歩きに切り替えた。
 坂下宿を離れると、坂道は狭く急になる。片山神社は鎌倉時代からあったと言われる古い神社。今は荒れ果てているが、いつの時代のものか、りっぱな石垣が残っていた。石段の椎の実を拾ってポケットに入れ、急な坂道を登った。さらに石畳の坂道。峠までは急な坂が続く。何しろ東海道の難所である。
 以前、峠を越え土山まで歩いたが、滋賀県側はあっけないほど普通の道になってしまう。ゆるやかに下る国道歩きは面白くもなんともない。
 坂下宿から片山神社の上の石畳あたりまでが街道歩きとして面白いと決めて、道端に紫や朱色の秋の実を見つけつつ戻ってきた。人が自分の足で旅をした時代を偲ぶひとときであった。 (舞)