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亀山市に入った私とМ君は県道28号亀山白山線を芸濃町方面へ。津関線との合流地点から同線を関方面へ走る。しばらく進むと見える中ノ川を越え、すぐ左手側に広がる集落が最初の目的地である芸濃町楠原だ。
この集落は、長さ1㎞ほどの旧道沿いに伝統的な建築様式の民家が連なっており、津市内屈指の情緒溢れる町並みが残っている。芸濃町史によると、楠原は伊勢別街道沿いの宿場町として中世以来、栄えていたが、江戸時代になると次第ににぎわいは近隣の椋本宿へと移っていったとある。
一見すると、それぞれの建物が建てられた時期に開きがあるのは分かるが、共通して感じるのは先祖への深い敬意。優れた美術品や建築物は人々の〝思い〟を介することで時を越える。水や空気のようにごく自然な形で、集落に満たされた〝思い〟によって、この町並みが現存しているのだと実感する。
その素晴らしさに日頃スポーツジムで鍛えた健脚を見せ付けるように道中を先行してきたМ君も思わず、ペダルを漕ぐのをやめて立ち止まる。自然と2人のペースはゆるやかになり、時折振り返ったり、自転車を停めたりしながら、ゆっくりと風景を味わう。交通の妨げになる車ではなかなか出来ない自転車や徒歩の旅ならではの醍醐味である。
やがて、楠原の集落を抜けた2人は、再び津関線から、次の目的地の石山観音公園をめざす。ここは閑寂な山中にそびえたつ巨岩に刻まれた磨崖仏が立ち並ぶ芸濃町を代表する観光スポットの一つ。草創の詳細な時期などは不明だが、入口付近の「阿弥陀如来立像」は高さ5mの鎌倉時代の作で一群でも最大最古。付近の「地蔵菩薩立像」、「聖観音菩薩立像」と共に県指定文化財となっている。
自転車を停めて公園内へと入ると、すぐ地蔵菩薩立像の威容に圧倒される。その後、木々の隙間を縫うように走る順路に従って、西国三十三ケ所詣りにちなんだという33体の観音像を順に見ていく。
山頂から少し下ったところにある「馬の背」と呼ばれる岩山からの眺望は格別の美しさ。ここでふと、時計に目をやると針は16時過ぎを指している。午後からのスタートだったこともあり、日没まで余り時間がない。足早に入口まで戻ると公園から小山を隔てて南側に当たる忍田の集落を経由し、河内方面へと向かう。
ここからはきつい上り坂の連続で少々堪えるが、そんな私を尻目にМ君は軽やかに坂道を登っていく。私はあえなく途中で、自転車を押す羽目になったが、なんとか日没直前にゴール地点の安濃ダムへと到着。初回の成果はまずまずといったところで、М君もご満悦の様子。次回は日を改めてダム湖である錫杖湖周辺の散策から開始だ。(本紙報道部長・麻生純矢)
2013年11月21日 AM 4:55
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