優等賞一席に輝いた「にしふく7」号と出品者の畑さん

 11月24日、世界のブランド『松阪牛』の年度チャンピオンを決める『第64回松阪肉牛共進会』が松阪農業公園ベルファームで開かれた。主催=三重県・松阪市・津市など関係市町ほか関係農業団体。
 厳しい最終予選を勝ち抜いてこの日の本選に出場した50頭の特産松阪牛は、兵庫県から買い付けた子牛を松阪牛肥育地域で肥育農家が手塩にかけ、採算を度外視して900日以上も肥育した未経産の牛で、いずれ劣らぬ天下の名牛揃い。
 早朝から県畜産研究所の職員ら5人が体形、毛並みなどを審査した結果、チャンピオン牛の優秀賞1席には多気町前村の畑敬四郎さん(30)肥育の『にしふく7』号=肥育日数1110日、672㎏=が輝いた。
 畑さんが最高賞を獲得したのは2年ぶり、3回目。「まず両親に伝えたい」と嬉しそうに話した。
 表彰式では審査長の県畜産研究所大家畜研究課・三宅建雄主幹研究員が「生産者の肥育技術が上がっており、平均体重も年々上がっている。例年になく見事に肥育されていた。優秀賞1席牛は背の幅もボリュームもあり体格のバランスも良く、皮毛も光沢があって触った感じも松阪牛らしい柔らかい毛並みであり評価した」と講評した。
 大勢のギャラリーや報道陣が注目する中で13時から行われたせり市には、津の朝日屋、松阪の和田金、牛銀本店など19業者が参加。審査員の評価とはまた違った精肉業者ならではの目利きでせりを繰り広げた。
 優秀賞5席の『ふくえ3の4』号は、311万円で朝日屋が落札。4席『きくなえ』号は312万円で牛銀が落札。3席『かずひめ1』号は360万円で牛銀が落札。2席『ふくひめ』号は412万円で朝日屋が落札。
 大トリの『にしふく7』号は300万円からスタート。2千万円の大台を超えると会場からどよめきが起こった。白熱した競りの結果、朝日屋が昨年より100万円上乗せした2300万円でせり勝った。朝日屋のチャンピオン牛落札は22年連続、通算32回目。50頭の平均落札価格は286万円だった。               今年も圧倒的な買い攻勢で50頭のうち、29頭を落札した朝日屋の香田佳永副社長(53)は「今年の牛の出来も良かった。飼料代も高騰している昨今、肥育農家の生産意欲を高めてもらうために値段を付けさせてもらった」と笑顔で話した。
 落札した各業者の頭数は次の通り─①朝日屋…29頭②マックスバリュ中部…4頭③牛銀本店、丸中本店…3頭④瀬古食品、焼肉千力、和田金、まるよし…2頭⑤一升びん、肉の友屋、柿安…各1頭。