実家の押入れを整理していたら、おはじきが一つコロンと出てきた。姪っ子が遊んだものか、それとももっと古くて、私が子供の頃に遊んだものか。
 平べったく丸い透明ガラスの端にひと筆の緑色がある。表面の波のような凸凹が懐かしい手触りだ。
 どのように遊んだのか、遠い日を思い出した。ぎゅっとつかんで、放り投げ、いったん手の甲で受け止めた後、再び放り投げて、落ちてくるのを今度は手の平でつかみ取り、取った数を競う遊び。
 弾いて遊ぶこともあった。ざっとばら撒き、その中の二個を選び、間を指で切る仕草をした後、片方を弾いて他方にぶつける。うまく当たれば、そのおはじきが自分のものになる。
 陣取りもした。紙の隅の自分の陣から、おはじきを弾き、3回目で自陣に戻ってくる。弾いた軌跡が自分の陣地となり、その広さを競った。
 どれも取ったり取られたりするゲームだが、おはじきの所有権が移るわけではなかった。取った数を競った後は、おはじきを持ち主に戻した。男の子のメンコやビー玉遊びとはそこが違った。
 今の子供たちは、ゲームソフトの中で取ったり取られたり、得点を競ったりしている。遊びとして面白いのは同じだろう。さて、何が違うだろうか。手の平でおはじきを転がしながら考えを巡らせた。(舞)