津市は平成14年に開設した津市あのつ台の『津市地域情報センター』を来年6月末をもって廃止する案を市議会に上程している。県下初の情報拠点施設として開設当初は多くの人々に利用されてきたが、スマートフォンやタブレット端末の普及といった劇的なIT環境の変化で、その意義が薄れてきたのが理由。一方で市はセンター廃止後、特にサポートの必要な高齢者に重点を置いた施策を行うべく調整を進めている。

 中勢北部サイエンスシティの『あのつピア』1階にある「津市地域情報センター」。情報・交流・基地をキーワードに市民の情報活用能力の向上を目的とする県下初の情報拠点施設として、平成14年の4月24日にオープン。センターの整備には総務省と経済産業省による「先進的情報通信システムモデル都市構築事業補助金」を活用している。
 主なサービスは、無料でインターネットや文書作成・表計算ソフトなどが使えるパソコンを解放している「IT市民広場」、パソコン教室を開く際などに活用できる「IT研修室」(有料)、パソコンの基本的な操作方法を電話や直接アドバイスしてもらえる「ヘルプデスク」の3つ。
 開設当時は、まだパソコンやインターネットの普及率が低かったため、先進的な施設として多くの市民に活用されてきた。しかし、11年の歳月が流れる間に、スマートフォンやタブレット端末の爆発的な普及や、街中の至る所に無料の無線LANスポットが設置されるなど、ITを取り巻く環境が激変。それに伴いセンターの利用者は減少した。
 数字で見ると、IT市民広場の利用者数は平成24年度8122人に対して、平成24年度4315人、IT研修室は同年比で4263人に対し、2301人とほぼ半減。ヘルプデスクに関しても、高度な操作方法やスマートフォン・タブレット端末の操作に対する質問など、本来意図していたパソコンの初歩的な使い方をアドバイスするという位置づけからは、大きくかけ離れた質問が寄せられるようになっている。
 これを受け、津市は現状のセンターは役目を終えたと判断し、同センターのサテライトとしてアスト津に設置しているアスト情報センターを来年の3月末、地域情報センターを同年6月末に廃止する議案を現在開催中の市議会に上程中。それと同時に、新たな形で市民の情報活用力を育む施策の推進を進めている。
 近年では、ネットを通じ自宅にいながらでも買い物や様々なサービスを気軽に利用できるようになった反面、パソコンを上手く使いこなせないと不自由を感じる場面に遭遇することも多くなった。特に各種統計でもパソコン利用率が少ないという結果が出ている高齢者に対する施策は不可欠といえ、市も重点的に取り組む意向を見せている。
 まだ廃止の議案は議会で可決されておらず、各部との調整を進めている段階だが、現状の案としては、IT市民広場の代替には、各地域の公民館へのタブレット端末の設置。IT研修室の代替には、交通の便も良く日常から高齢者が集まる津センターパレスの津市中央公民館の情報研修室の活用を想定している。
 また、高齢者以外にも、情報技術に長けている子供たちがネットを通じた犯罪やトラブルに巻き込まれるケースが増えており、教育的な観点からも市民の情報活用能力向上は行政の責務といえる。めまぐるしい変化と革新を続ける情報化社会の姿を正確に捉えながら、時代に即した施策を展開していくことが求められているといえよう。

南野社長(左)から建設資金の目録を贈呈(お城ホールにて)

三重大学が建設する「ハーモニーハウス」

 (株)メディカル一光=南野利久社長=を核に、三重県を中心に中部・関西に87店舗の調剤薬局の運営と、ヘルスケア事業として有料老人ホーム9施設を運営する企業グループ「メディカル一光グループ」の新社屋(津市西丸之内36─25)の完成記念式典が8日、津リージョンプラザお城ホールで開かれ、社員約400名を含む関係者が出席し、新たな出発に気を引き締めた。
 はじめに、社員らを前に南野社長は、「昨年3月に起工し、12月1日から本社を無事に移転することができた。私も新社屋で経営に取り組んでいく所存。振り返ってみると、当社の前身である医薬品の卸会社が藤方に移転したのが31年前。当初の本社は60坪ほどの小さな土地に建設したので、その後に増改築を重ねて旧本社の規模に至った。しかし昨今は社業の発展と共に手狭になり、当社の出発の地であるこの西丸之内に移転することになった。
 現在、当社は1道2府10県に営業拠点があり、三重の地から東京、大阪という都心に向けて発信している。当グループの事業活動は調剤薬局をメインとし、医薬品の卸、老人ホームを展開している。いずれも高齢化と共に市場が拡大してきた。さらに規模を大きくし、効率化に取り組んでいくのが私の使命。
 我社の経営理念は『良質の医療・介護をより多くの人に提供する』だが、医療を治療に置き換えれば『治療・介護』となる。今後はそこに予防を加えて『予防・治療・介護』をキーワードとして事業を推進していく。メインとする調剤薬局は85年に津市に1号店を出店。現在の総店舗数87店舗、三重県下だけで37店舗を展開している。企業の成長には2つしかない。一つは売上げを上げること。もう一つは売上げはアップしなくてもレベルアップしていくこと。当社は調剤薬局の売上高で県内トップ企業となった。また、レベルアップで言えば、いかに患者さんが満足して気持ちよく薬を受け取ってもらえるかということ。売上も一番、おもてなしも一番と言われる企業にしていかなければいけない。おもてなしが県内一位なら、売上げトップの地位をさらに強固にできる。この精神をもって介護事業や他の事業を展開することができるならば、20年、30年と続く企業グループを構築できる。若い社員達が幸せを実感できる会社でなければ成長を続けることはできない。そんな企業グループを構築していく」と話し社員にエールを贈った。 
 その後、竣工感謝状を、設計者の(株)アーキ設計、施工者の日本土建(株)に贈呈。続いて20年以上勤務者(14名)と10年以上勤務者(149名)に永年勤続表彰状を贈った。
 さらに三重大学の内田淳正学長が「超高齢社会をどう生きるか」を演題に特別講演(要旨は2面の記事を参照)。
 また、新社屋完成記念として、三重大学が病気の子供とその家族が利用できる滞在施設「(仮称)ハーモニーハウス」の建設資金に充当する1800万円の目録を南野社長が内田学長に寄贈した。
 同施設は、三重大医学部附属病院へ小児の治療のために遠方から付き添う家族の精神的、肉体的、経済的な負担を軽減し、病院の近くで自宅と同じような生活を送ることができるもので、平成26年5月頃に竣工する見込み。
 メディカル一光グループは、創業以来、医療を通じた社会貢献活動に取り組んでおり、これまでに「特定非営利活動法人・全国骨髄バンク推進連絡協議会」「認定特定非営利活動法人・世界の子どもにワクチンを日本委員会」「三重大学小児科サマーキャンプ」に対して寄附を行っており、今回の建設資金寄贈も、その一環。
 寄贈を受けた内田学長は「多額の寄附に感謝する。子供の難病は治療が長期に及ぶ。治療生活を少しでも緩和するために建設させてもらう。米国ではマクドナルドが中心になって同様の施設「マクドナルドハウス」を作っている。心よりお礼を申し上げる」と謝辞を述べた。

協力してマグカップを作る親子

 7日、津駅西口前の大川幼稚園2階ホールで、年長児63名が、親子で陶芸教室に参加した。
 親子の交流や、陶芸を楽しむことを目的に、平成18年度から毎年、津市安濃町にある草生窯の前田憲生さん・充子さん夫妻を講師に迎えて行っているもの。
 親子らは一組一つずつマグカップを制作。丁寧に粘土の形を整え側面や底面、取っ手を作り、笑顔で相談しながら個性溢れる飾り付けを付けた。
 吉田陽香ちゃん(5)は「可愛いカップにしたい。ママと一緒に作ったから楽しい」と話した。
 マグカップは前田さん夫妻が持ち帰り、焼きや着色などの作業を行って完成させ、3月の修了式当日に園児に贈られる。

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