「たこ焼きで世界中の人を幸せにします!」三重大学4年生の2月に、東京で開かれた「wiz TABIPPO」というコンテストに参加した。2200人の前でプレゼンし、自分の夢を語った。約500人の応募者から、僕はその大会で優勝した。優勝賞品は「世界一周航空券」だった。
 その頃、すでに4月から就職が決まっていたが、入社を辞退させていただき、世界を周ることを決意した。
 「バカじゃないの。」「早く働け。」「就職辞退なんてもったいない。」そんなことも言われた。でも、親は僕にこう言った。「お前の人生やから好きなように生きろ。20代は何でもやったらええねん。」
 僕の両親は今まで僕がやることをすべて認めてくれ、応援してくれた。浪人、三重大学進学、たこ焼き屋起業、休学、旅、そして入社辞退からの世界旅。すべてにYesと言ってくれた。僕はこの二人のもとに生まれて本当に幸せだと思う。
 コンテストから5カ月が経ち、旅立ちの日を迎えた。旅に必要な道具をバックパックにつめる。パスポート、服、カメラ、日用品、そして、たこ焼きの道具。大学1年の時にたこ焼き屋を起業して5年が経つ。これが今この旅に繋がっていると想うと不思議である。
 「たこ焼きを世界中で焼いて、人を笑顔にするんだ。」この大義名分のもと、僕の旅はスタートする。
 スタートから2カ月半が経った。モンゴル、中国、東チベット、ベトナム、ラオス、タイ、バングラデシュと旅をして、現在はネパールにいる。これまでモンゴル、ベトナム、タイでたこ焼きの店を出した。ラオスでは托鉢で僧侶に食べてもらった。
 「何だよこの食べ物!」「どうやって作るんだ?」「何が入ってるんだ?!」そう言って集まってくる人々。そしてたくさんの人が笑顔になる。熱々のたこ焼きを頬張り「おいしい!」って言いながら笑っている。この瞬間が最高に嬉しい。「たこ焼きは人を笑顔にする。」そう断言して日本を飛び出したけど、それは間違っていなかった。これからもいろんな国でたこ焼きを焼いていきたい。
 僕がこのような旅をするきっかけになったのが、1年前のモロッコのエッサウィラという街でたこ焼き屋を開いたことである。モロッコの道端で営業していた時、一人の男性が買いにきた。そして一言こう言った。「俺のピザ屋の前で店だせよ!」それがピザ屋のアナスとの出会いだった。それから3日間アナスの店の前で出店した。たこ焼きはとてもよく売れた。別れの日、店を貸してくれたアナスにレシピと技術と道具をすべて渡した。「アナス、がんばれよ!」って言いながらお互い抱き合った。
 あれから1年が経つ。アナスは今どうしてるんだろうって。先日、モロッコを旅されていた方からメッセージがあった。「モロッコでたこ焼き屋を見つけました。」その方のブログをみた瞬間に、ぶわーってモロッコでの記憶が蘇った。
 自分が本気でやってきたことが人を動かし、国境を越えて人を笑顔にする。こんなに嬉しいことはない。今でもアナスのたこ焼きを食べたっていう旅人にたくさん会う。「すごく売れていたよ!」「美味しかったよ!」っていう言葉を聞く度に、たこ焼き屋をやってて良かったなって思う。
  これから先、まだまだたくさんの国を旅する。たくさんの国でたこ焼きを焼く。世界中の人の笑顔が見たいから、重い鉄板かついで、世界を歩いて行きます。(森田 松之助(たこのすけ))

 三重ボランティア基金チャリティーゴルフ実行委員会では、11月8日8時~、松阪市嬉野島田町の西日本セブンスリーゴルフクラブで第24回チャリティーゴルフ大会を開催するにあたり参加者を募集している。
 競技方式=18ホールストロークプレー・ダブルペリア・ショットガン方式。
 参加費1万30円(うち同基金への寄付金2千円・プレー代8千30円)。
 申し込み=住所・氏名・電話番号を同基金℡津227・9994、またはFAX津227・6618へ連絡する。
 締切りは10月25日必着。

 働けど、働けど…ではないけれど、じっと手を見る。ちりめんのような皮膚の下を青黒い静脈がのたくっている。五ミリほどのシミが二つある。指は割合と長い。そしてペンだこがある。
 今どきペンだこを作っているのは、漫画家ぐらいではあるまいか。ワープロの普及で、ほとんどの人の手からペンだこが消えたのに、私の右手中指の第一関節の皮膚は硬く盛り上がっている。
 ペンだこができるのは、筆圧が強すぎるからだろうか。ほとんど字を書かない生活なのに、身に付いた癖のせいでたこが消えない。
 じっと足を見る。割合大きい。足の静脈は手のそれよりも細く見える。青黒くのたくっているのは同じだ。たこもある。座りだこである。
 右足のたこの方が大きいのは、正座のときに右を下にするからだ。幼い頃、板の間で正座をしてご飯を食べていた。だから未だにフローリングで正座をしてしまう。これも癖。たこは消えない。
 家事や仕事で動いている時には、自分を見る余裕はない。きょうは何にもすることがなくて、何にもしたいこともなくて、時間ばかりがある。自分に対する不安も家族や友人に対する心配も見当たらない。
 だから、何も考えないでじっと手を見る。まるで老人か病人のようだが、忙しくしてばかりでは人生がもったいない。無為な時間も良いものだ。      (舞)

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