「江戸名所図会」に描かれた長井家江戸店

津市垂水の石水博物館は3月8日(土)13時~16時45分、津商工会館(津商工会議所1階)でシンポジウム『伊勢商人長井家の経営』を開く。国文学研究資料館・山田哲好准教授が代表を務める「山田科研実行委員会」が取り組んできた「長井家文書」の調査報告を兼ねたもので、同委員会と同博物館の共催。
木綿を商っていた長井家は近世から近代にかけて松阪湊町を本拠にした商家で、伊勢屈指の豪商。江戸大伝馬町で川喜田家とともに軒を連ねていた。
また、小津、長谷川、三井などと並び、紀州藩の御為替方や銀札方も勤め、江戸店の風景は「江戸名所図会」に描かれたほどの大きさであったとされる。
昭和に入り、主に江戸時代の商業資料である長井家文書は、同業者の川喜田家が引き取ることになる。以後、「川喜田家文書」と「長井家文書」は伊勢商人を代表する2つの家文書として石水博物館が引き継ぎ、その量の膨大さと内容の重要さゆえ、長年いくつもの研究機関の協力を得て調査研究を進めている。
山田科研実行委員会の調査は独立行政法人・日本学術振興会が助成する科学研究費によるもので、平成23年から3年間にわたり、同教授ほか、歴史・経済を専門とする各氏によって数万点もの長井家文書のうち、「江戸来状群」と呼ばれる書状を中心に調査。
シンポジウムでは、山田代表はじめ6名のパネリストが研究成果を報告する。 聴講無料だが、事前に電話で同博物館に申し込むこと。先着80名になり次第締め切り。