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サイクリングを早めに切り上げた私たちは美里町から私の自宅に戻り、軒先で自転車のメンテナンスを行う。というのもペダルをこぐ際に、少しずつ滑らかさが失われてきているように感じたからだ。
手先が不器用な私は機械いじりが、余り得意ではない。言い訳にもならないが自転車の購入以来、たまに油をさすくらいで、真面目にメンテナンスというものをしたことがない。
しかし、技術や工具の無い素人の私たちに出来ることと言ったらたかがしれており、M君が本屋でわずか1000円足らずで買ってきた整備ハンドブックだけが頼り。今日のお題はチェーンやギア周りの洗浄だ。
そうなると、アレの出番だ。私は家に入り、通信販売で買ったまま開封すらしていなかった段ボール箱を引っ張り出してくる。そして、入念にほこりを払い、中から自転車用のチェーン洗浄器を取り出す。
洗浄器は、長さ約20㎝、厚み約5㎝の台形で、取っ手の付いたプラスチック容器。上ふたを外すと内部にはいくつものローラー状のブラシが付いている。そこに洗浄液を満たし、チェーンを挟みながらペダルを回すと汚れが落ちるという仕組みのようだ。チェーンを取り外して灯油で洗うという昔ながらのやり方もあるらしいが廃油の処理などの手間を考えるとやはり洗浄器を使うのが手軽だろう。
説明書を熟読した後、実際に作業をやってみると、意外と簡単。ペダルを軽く回す度に、黒ずんでいたチェーンがみるみる美しくなっていく。更に、ギアとギアの隙間も付属のプラスチックへらで劣化した油や砂を落とすのだが、不器用な私でも難なくこなせた。やはり、文明の利器の力は素晴らしい。
横で私の作業を見ていたM君も続いて洗浄作業を行う。私は美しくなったチェーンを眺めながら、ささやかな満足感に浸っているとM君から「おーい、チェーンを拭くウェスをくれ」と未知の単語を投げかけてくる。思わず「ウェスって何よ?」と返す。すると「雑巾と古布のことや」という答えが返ってくる。なるほど、早速ハンドブックで得た知識を使っているということらしい。「だったら、そう言えよ」と切り替えし足元にあった古いタオルや雑巾をM君に向って軽く放り投げる。
チェーンについた水を良くふき取った後に注油すると、見違えるほど美しくなっただけでなく、心なしかペダルの回転やシフトチェンジの動作も良くなった気がする。仕上げにタオルでフレーム全体を磨いてメンテナンスは終了。今までなんとなく敬遠していたが、やってみると、案外楽しいものである。次は無手勝流ではなく、知識のある人から学んだ上でメンテナンスをしてみたくなった。
気が付くと日も暮れかかっているが、これで準備は万端。次回は再び、美里町の探索だ。(本紙報道部長・麻生純矢)
2014年3月13日 AM 4:55
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