実社会を知るキャリアップ教育の推進が重要課題となっている中、注目を集めているのが、今月26日に第13回が開かれる『地域が応援する学生のためのキャリアアップセミナー』。県内の高校生や津市内の中学生や大学生を対象に、三重大を核とした産官学連携で県内の経営者らの生の声が聴けるなど密度の濃い講座を展開。5年前に津市から始まり、上富良野町や桑名市でも開催されるなど、大きな広がりを見せている。

 元々、同セミナーは、テナント誘致で苦戦が続いていた㈱津センターパレスが、状況を打開すべく打ち出したソフト事業。人々が集うプラットホームという新たな魅力をビルに持たせようと動く中で、県内の様々な企業と深い繋がりを持つ現三重大学地域戦略センター長の西村訓弘教授と出会い、産学連携による高校生セミナーを企画した。
 これは、都会への憧れなどから、大学進学や就職を機に三重県を出てしまう高校生が多いものの、離職率の高さが問題となっていることや、進学後も将来が思い描けないまま過ごしてしまう学生が少なくないことから、西村教授の人脈を活用し、県内企業で活躍する気鋭の経営者や大学教授らの生の声が聴ける場を提供することで高校生たちにより明確な夢や目標を持ってもらうのが狙い。その上で、三重県の次代を担う人材の育成を目標に掲げている。
 三重県教育委員会の協力で県内の公立・私立高校に声をかけており、回を重ねる毎に参加校を増やしている。基本的には3月と8月の年2回で、途中には女子生徒だけを対象としたセミナーなども開催。それらの受講者数は、合計700名以上。また、現在は市内の中学生も参加。サポート役は大学生や院生が担当しており、彼らにとっても貴重な学びの場となっている。
 運営費は企業からの協賛という形で賄ってきたが、その際に生まれたつながりがセンターパレスのテナント誘致に大きく貢献。平成22年の「野村證券・百五銀行・創業革新プロジェクト研究室」を皮切りに、三重大のキャンパスインキュベーターを卒業した企業や、辻製油㈱(うれし野ラボ)と三重大学の共同アンテナショップ、「つみきプラザ」等の誘致に成功した。
 その後、運営主体のセミナー実行委員会の中心が、センターパレスからアスト津を運営する津駅前都市開発㈱、三重大学地域戦略センターという順に移り変わってきた。津市と県教委も共催に名を連ねており、全面的に協力している。
 キャリア教育が教育異分野での重要課題となる昨今において同セミナーは高く評価されており、平成23年には津市の友好都市である北海道の上富良野町で、また昨年には桑名市で実施。今後は伊勢市でも開催が予定されている。更に次の段階として企業と共に、農業など注目分野の仕事を体験できる社会実験の場の創出も計画中で、特色ある形での発展が期待されている。
 13回目のセミナーは、3月26日10時~16時半にアスト津のホテルグリーンパーク津で開催。今回は企業経営者ではなく、才能を生かした分野で活躍している人を講師に迎える。第1部は元三重中央大学野球部監督の中村好治氏と、フリーアナウンサー・山上和美さんによる講演。第2部はグループ討議と中村氏、山上さんに西村教授を交えた座談会といった内容。募集対象は県内高校生と津市内の中学生や大学生。
 申し込みは☎059・224・2913へ。

食材への感謝を込めて厳粛に執り行われた庖丁式

 13日、津市大門の津都ホテル5階で、学校法人大川学園が運営する三重調理専門学校=津市大谷町、大川吉崇学校長=の第53期生卒業式が行われた。
 今年の卒業生は1・2年制コースの計45名。式では卒業証書・調理師免許証授与が行われたほか、大川学校長が「これから一瞬を大事にして、土台づくりをずっと続けていってほしい。紙一枚でも千枚溜まるとすごい量になる。大器晩成型で、積み重ねたものが社会の役に立つと、自分は良く頑張ったと感じられるし、周りの人も頼りにしてくれる」と述べ、将来への希望を胸に巣立つ卒業生達を激励した。
 また、式終了後には、在学中に調理実習で使った魚・鳥をはじめとする食材への感謝を込め、卒業生の新たな門出の祝いも兼ねて、室町時代に始まった日本料理の手法である「庖丁式」の奉納が厳粛に執り行われた。
 「四條流庖丁儀式保存会三重県支部」の支部長を務める大橋柏彩さんが、春の季節や卒業の祝いに相応しい「梅見之鯉」という切形を披露。
 卒業生らが真剣な表情で見入るなか、金属製の菜箸と庖丁を使い、鯉に全く触れず、見事に捌き切った。

商店街で泳ぐ鯉のぼり(昨年の模様)

 鯉のぼりをいっぱい飾って商店街を盛り上げようと津市丸之内商店街振興組合=鯉江盈理事長=が、今年も自宅で使わなくなった鯉のぼりの提供を呼びかけている。商店街活性化策の一環。
 丸之内には津城跡があり武将といった男らしいイメージが強いため、5月の端午の節句に合わせてアーケード内をたくさんの鯉のぼりで飾り、中心市街地への集客性を高めるのが目的。毎年春に開催されている『津・大門のおひなさん』に続き、〝鯉のぼりの商店街〟として丸之内商店街を全国にPRする。
 提供を求めているのは、大きな鯉のぼりはもちろんお菓子のオマケに付いている小さなものまで何でもOK。同商店街は「一つでも多く集めたい」と話す。
 問い合わせは同商店街☎059・224・4955。

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