三重県内の刑法犯認知件数自体は減っているものの、家屋への侵入犯罪は増加傾向にある。そこで一定の設備を備えた4階建て以上の共同住宅を対象にした『三重県防犯優良マンション認定制度』がいよいよ4月1日からスタートする。同様の認定制度は国も普及をめざしており、全国的に整備が進んでいる。住民の安心・安全を担保するだけでなく、地域全体の防犯意識を高める意義からも今後の普及が期待されている。

 昨年中の三重県警管内の刑法犯認知件数は1万9726件と最大だった平成14年の4万7600件に比べると激減している。しかし、昨年の空き巣や忍び込みなどの住居への侵入犯罪件数は1054件と大きな割合を占め、前年比で101件も増加している。この現状に対し、国や県も犯罪抑止の観点からマンションなどの共同住宅の防犯性を高める認定制度の普及を促進。既に全国の20以上の地域で制度が運用されている。
 4月1日からスタートする『三重県防犯優良マンション認定制度』は、そのような背景から生まれた。公益社団法人・三重県防犯協会連合会、一般社団法人・三重県建築士会、NPO法人・三重県防犯設備協会の三者が共同認定機関となり、一定基準を満たす4階建て以上の新築・既存物件を認定する。認定物件にはプレートを設置し、HP上などで物件の名前の周知を行う。そして、県や県警とも協力しながら犯罪抑止につなげていくという流れ。
 認定基準の一例を挙げると…共有玄関にはオートロックを備えた扉と通る人間の顔を写す防犯カメラを設置する、共用廊下には柵を取り付けるなど侵入しづらい構造にする、住民が住む専用部分にも防犯性の高い扉と鍵やインターホンを設置する、といった具合。
 審査は新築の場合は設計段階から、既存の場合は設備を整えてから受けるという形。無事に認定となれば入居者側に安心・安全を提供できるばかりか、物件としての資産価値も向上。更に認定物件が増えてくればマンション住民だけでなく地域全体の防犯意識の向上も期待できる。
 昨年には、3階以下の物件を対象とした「防犯優良アパート認定制度」を立ち上げ、登録件数を増やすべく努力を続けている。今回の制度も運用開始に先駆け、19日にあった説明会にも、20名ほどの参加者があり、関心の高さを伺わせた。
 認定手数料は新築の場合は、法定延床面積3000㎡以下に対して29万円(それを超え、1000㎡を増すごとに+5万円)。既存は同条件で21万円(同条件で+3万5000円)が必要となる。認定の有効期限は5年間で更新には12万5000円(同条件で+2万2000円)。
 既存物件でも条件次第だが、非常ボタン付きのインターホン設置などで一部屋辺り15万円~20万円ほどの費用で対応できるという。
 制度の規定などは三重県防犯設備協会HP=www.miebouhan.com/問い合わせは三重県防犯協会連合会☎津225・4333へ。