端午の節句にちなんだ美しい和小物の作品展

 津市久居中町134─35の和紅茶(国産の紅茶)をメインとする紅茶の店「茶寮多喜」=店主・増田多喜子さん=では併設のギャラリーで5月5日まで、古布などを使った和小物の「端午の節句展」を開いている。
 佐世保市近郊でギャラリーを運営する森園美智子さんの協力で、季節ごとに行っている作品展の一環。  鯉のぼりや兜の置き物をはじめ、男子の健やかな成長を願う端午の節句にふさわしい、趣のある美しい作品が展示販売されている。
 増田さんは日頃から日本の伝統文化や行事を大切にしており、「日本の四季や節句を感じてほしい」と来場を呼びかけている。
 営業は10時~16時、水・木曜定休。駐車場は店向かいのNO1~4。
 問い合わせ☎059・256・3135。

名松線の車窓から見える山で行われた植樹の様子

 津市美杉町奥津、JR名松線・伊勢奥津駅近くのミニ道の駅「かわせみ庵」=中田かほる代表=が先月、オープン5周年記念の植樹祭を開いた。
 同線の全線復旧を前に、乗客に楽しんでもらえる景観をつくろうと、昨年に引き続いて行われたもの。
 名松線を元気にする会、音響会、八幡地域活性協議会、ボランティアの三重大生など、県内外から102名が参加した。
 そのうち約40名が、5月10日に公開される映画「WOOD JOB!~神去なあなあ日常~」の撮影が行われた奥津地区内の山で、50本のクヌギの植樹を実施。
 スコップなどを使って楽しみながら作業し、獣害防止用のネットを施した。また植樹を記念する看板も立てられた。
 クヌギの木は保水力があり、山の水源涵養機能を高めるのにも役立つ。今回植えられたのは幼木で、約10年後にはドングリの実がなるという。
 かわせみ庵では、来年も同地区内で植樹活動を行う予定。
 中田さんは、名松線や地域の活性化、自然環境保全について「一歩一歩前進するように、努力していきたい」と話している。

うっすら雪の積もった道

  相変わらず、険しい林道は続いている。めざす長野氏城跡は、現在登っている山の頂上に位置するのだがふもとからの距離は想像以上に長い。これに関しては少し侮っていたと言わざるを得ない。
 休憩を終えた後、M君と二人、自転車を押しながら薄い雪に彩られた林道をゆっくりと登っていく。突き刺さるような寒気が頬を撫でるたびに、背筋を丸めて耐える。足元に散らばる石や砂に気を付けながら、慎重に進んでいくと、舗装が途中で途切れている。
 そこで、私は荷物になる自転車をここに置いていこうと提案。M君はうなずいた後に「カギをかけるからちょっと待って」とリュックからワイヤーロックを取り出そうとするが、私はすかさず「こんな日にここまで来る物好きな泥棒は、まずおらんと思うよ」と制止する。流石に用心深い彼も「確かにそうだな」と、これを承諾。道の脇の木に自転車を立て掛け、砂利道を歩む。
 5㎝ほどの雪が降り積もった道は、当然足跡一つない。やはり、こんな日にここに来る人間など私たちしかいない。最初の足跡をつけるのは、何度やっても快感である。一方、前を進むM君は雪の中を歩くのを少しためらっている様子。なぜだろうと、頭からつま先までを観察してみると理由はすぐに分かった。大仰なヘルメットやゴーグルを身に着けている癖に足元はおしゃれなスエード製のスニーカーを履いている。これでは、すぐに靴の中が濡れてしまうだろう。私はというと、歩きやすいランニングシューズを装着。自転車で走るという連載の趣旨からは少し外れてしまうがいつでも徒歩で歩けるよう準備をしている。
 そんなM君をからかいながらしばらく進むと、ようやく頂上付近の国指定史跡・長野氏城跡に到着。標高は540mということもあり、一帯は道中以上に雪が積もっている。おかげで、全貌は見いだせないが、公園のように整備されているのは分かる。
 在りし日のこの城は工藤長野氏によって鎌倉時代に作られ、調略によって同氏を傘下に収めた織田氏が廃城とするまで300年余り使われていた。また長野小学校の方の山にも3つの支城が建てられていた。
 城跡内は小高い丘になっており、奥には史跡を表す石碑が建てられている。その横からを山下を見ると目の前に大きな鉄塔が立っているが、ふもとの集落だけでなく、遠くは伊勢湾まで見渡せる。本来は、ここまで尾根伝いに走る道から登ってくるらしいが、一時間半もかかるらしい。砦としては最高の立地だろう。

雪に覆われた長野氏城跡内

 私の隣にいたМ君は少しソワソワした様子で辺りを見渡している。なるほど、城跡とくれば、神算鬼謀を誇る軍師様の御出陣だ。
 いつもの如くM君は「城の広さは多分これくらいだから、常駐できる兵力はこんなもんだ」といった具合に根拠なき推論をもっともらしい顔で並べていく。ここで異議を唱えようものなら、槍衾の餌食になるのは目に見えている。
 「そうやな。そうやな」と懇ろに頷くそぶりを見せながら、M君が話終えるのを待つ。満足したのを確認し、城跡を後にした。(本紙報道部長・麻生純矢)

城跡にある石碑

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