19日、オークランドシティ津店(津市雲出本郷町)に四日市市で人気の『ナスパジュニアサッカースクール』が開校する。サッカー協会への登録はしないので所属する少年団などのチームと両立できるのが特徴。笑顔を生む〝褒める指導〟で、技術や楽しさだけでなく、時間を守ることや仲間の大切さ、自ら考え行動する力など、サッカーを通じて子供たちが成長していくことに主眼を置いた人材育成の場としての役割も果たしている。

練習の様子(中央は指導をする高山さん)

 スクールを運営しているのは、温泉施設「ユーユー・カイカン」=四日市智積町=で知られるリプロ㈱。同社は地域活性化に主眼を置いた事業を展開しておりこのスクールもその一つ。
 コーチで同社の地域活性化推進室室長を務める高山功平さん(39)は日本サッカー協会公認B級ライセンス指導者。神奈川県出身で5歳よりサッカーに親しんでおり、大学卒業後、福島県や福岡県のスクールで指導経験を積んできた。
 高山さんによると、数あるスポーツの中でもサッカーは実力至上主義が浸透しており、実績さえあれば、個人プレーや、自由な振る舞いも、ある程度は容認される風潮があるという。そのため、サッカーが上手い選手ほど、社会に出てから大きなギャップを感じてしまい、会社や組織になじめず苦労をしている場面に幾度となく遭遇してきた。
 また、かなり早い段階から、実力別にふるいにかけられるシステムが構築されているので、サッカーの本当の楽しさを知る前に挫折をする子供たちが多いことにも疑問を抱いていた。
 そんな現状に一石を投じたいと設立したスクールの主な対象は、スポーツ少年団などで試合に出る機会に恵まれない子供たち。サッカー協会への登録はせず、試合をしないので既存のチームと同時に所属できる。
 元・日本代表でセレッソ大阪ユース監督などを務めた二村昭雄さんが監修をしているスクールの特色はチアフルコーチングと呼ばれる褒める指導法。子供たちの意欲を高め、笑顔で楽しめる環境を作っている。
 スクールが目標として掲げるのは一番やプロになることをめざす技術の向上ではなく、仲間の存在を常に意識する視野の広い選手の育成。その指導方針の軸となるのが子供たちと結ぶ4つの約束。1つ目は全ての人に平等に流れる「時間の厳守」。2つ目は全ての基本「あいさつの徹底」。3つ目はコミュニケーションの原点である「目を見て話を聞く」。最後は仲間を常に思いやりながら、正しい判断をする「助け合い」。
 合宿の内容も個性的で、肉体的な鍛錬ではなく、プレゼンを伴うワークショップを行うことで自ら考え、伝える力を鍛えている。
 更にスペシャルオリンピックス日本・三重と連携し、障害者と健常者の混合チーム「チャレンジドFC」を設立。サッカーを通じた相互理解を深めている。
 スクールの指導と、既存のチームの指導は決して相反するものではなく、むしろお互いの存在を高める関係にある。その証拠に、四日市市のあるチームでは、選手をスクールに通わせた結果、公式大会で見事な活躍をしている。現在、四日市校には290名を超える生徒がおり、入校希望者も100人待ちという状態。
 サッカーというスポーツの特性を生かし、社会から求められる能力を持った人材育成を視野に入れた指導法は非常に画期的。
 高山さんは「スクールで学んだことは、社会に出てからも軸になっていくはず」と話している。
 19日開校の津校では、小学1・2年生が対象のU─8クラス、小学3・4年生が対象のU─10クラス、小学5年生が対象のU─12クラスを募集中。入校希望者は方針を理解するために無料体験2回の参加が必須。
入会金は1万3000円(先着20名5000円に割引)。月会費8000円(週2回・一部をチャレンジドFCに寄付)。全て税別。
 問い合わせ☎059・325・2000。

所有する漁船「第六夢丸」と奥山好治さん

 津市大門のバー『クロウズネスト』のマスター・奥山好治さん(59)が漁業権を獲得し、長年の夢だった漁師デビューを果たした。
 奥山さんは、仕事の合間を見て週に1、2回、自分の船で海に出る生活を30年余り続けてきた筋金入りの海の男。現在、所有している漁船「第六夢丸」は、津港新堀(津市港町)に繋留されている。この船はその名の通り、6代目の船で全長15mもある立派なもの。 初代は小さなボートだったが、奥山さんが海にのめりこみ続けていく中で、より安全に、より遠くへ航行できるよう本格的な船を持つようになっていった。
 海には様々な魚がいるが、奥山さんが愛してやまないのがシーズンを迎えているサワラ。漁に適した早朝に漁場である鳥羽に行くため、バーの営業が終わった深夜に出港。一本釣りを楽しんでいる。
 もちろん、新鮮な魚は自ら料理して、お客さんに喜ばれているが、それだけでは満足できず、「いつか本物の漁師になりたい」という気持ちが、奥山さんの心の中で膨らんでいった。
 しかし、そのために必要な漁業権の取得は、そう簡単なものでない。奥山さんも還暦までになんとかなればと思っていたが、30年にも及ぶ海の男としてのキャリアと熱意、その中で温めてきた地元の漁師たちとの親交などを津市漁協に評価され、今年4月に念願の漁業権を取得した。
 取得した漁業権を維持するには年間90日以上漁に出ることが義務付けられており、バーの経営との両立は決して楽ではない。だが、奥山さんはこれから漁師しか使用できない漁具を使ったワタリガニ漁に挑戦するなどやる気も十分。「自分の思い通りにならない自然が相手だから、それを読むのが海の楽しさ。漁師ならではの漁法にも、どんどん挑戦していきたい」と笑顔で話している。
 夢を叶えて、バーのマスターと漁師という2つの肩書きを持つに至った奥山さん。今後の活躍もますます楽しみだ。
 奥山さんの経営するバー・クロウズネスト(津市大門10─7、ピッチャーズビル1階)への問い合わせは☎059・228・3205へ。

「胡蝶の舞」の様子

 南朝の忠臣・結城宗広卿を祭神とする津市藤方の結城神社=宮崎吉章宮司=で1・3・4・5日に春祭りが執り行われた。
 1日の例大祭には、関東・東北・中部関西・県内など全国各地から集まった宗広卿の子孫による結城同族会代表のほか、神社本庁、県内神社代表、県神社総代会など神社関係者と、地元選出の県議会議員、津南ロータリークラブの奥田邦雄代表や皇學館大学の清水潔学長、三重県剣道連盟関者ら約百名が列席した。
 伊勢神宮楽師が奏でる雅楽が流れ、宮司が開扉した神前に海・川・山・里の神饌を捧げ、祝詞を奏上した。それに続き、本庁からの献幣使も祭祝詞を奏じた。
 その後、神宮舞楽の男舞「蘭陵王」と女舞の「胡蝶の舞」を奉奏。最後に列席者が玉串を奉奠し、忠義に生きた宗広卿を偲んだ。
 3日は三重県少年剣道大会、4日には三重県少年相撲大会、5日には土佐犬闘技奉納大会も開催され、とても賑わっていた。

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