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農業分野では、担い手の若返りが最重要課題となっているが、大きな追い風として注目されているのが国の『青年就農給付金』。45歳未満で新規就農に向けて農業を学ぶ人や、事業としてスタートを切る人に年間150万円を給付するという制度で、今年度も募集が開始されている。津市内でも制度を活用している人がおり、若手の就農人口拡大に一役買っている。
青年就農給付金は大きく「就農準備型」と「経営開始型」の大きく2つに分かれている。制度を大まかに説明していくと…
準備型は、都道府県が認める農業大学校などの農業経営者育成教育機関や三重県内や先進農家・農業法人(三重県内では「みえの就農サポーター制度」に登録している農家)で学ぶ際に年間150万円(最長2年)が支給されるというもの。
経営開始型は実際に事業を立ち上げて就農していく人に支給されるが、しっかりとした技術と経験を持ち、これからの地域の農業を担っていく存在として認知されることが求められる。給付金は準備型と同じく年間150万円だが最長5年支給される(適切な就農をしていない場合や所得が250万円以上ある場合は給付されない)。もちろん、開始型から移行することもできる。
平成24年度の実績では全国で準備型が1707人。経営開始型が5108人となっている。うち三重県内では準備型37名。経営開始型が45名。昨年度の県内実績は準備型が37名。経営開始型が83名となっている。年齢層で見ると、準備型は高校卒業後に三重県農業大学校で学ぶ人が半数近くを占めているのが特徴。一方の経営開始型は、それより平均年齢が少し高く30代が中心。経営開始型の支給人数については御浜町9人、紀宝町8人、津市は四日市市・鈴鹿市と横並びで7名という形で続いている。
そんな中の一人が、「ふぁんきー農園」を経営する平将之介さん(33)=津市美里町南長野=。兵庫県神戸市出身の平さんは三重大工学部卒業後、神奈川県に就職。その間、休日の農業教室に参加しながら、農業に対する思いを膨らませており、30歳を迎えた2011年2月に一念発起し、会社を退職。なじみのある津市に戻りプロの農家から野菜づくりを学び始める。そして、同年の秋頃に独立。今では津市稲場町にある7反(7000㎡)余りの農地で野菜の無農薬・有機栽培などに取り組んでいる。
平さんは無農薬・有機栽培野菜を、子供を生み育てる世帯にこそ食べてほしいと、できる限り価格設定を抑えて販売。主な収益は定期契約した顧客宅へ収穫したての新鮮な野菜を配達することで得ている。更にイベントなどにも出店し、顧客拡大にもつなげている。
しかし、自然との戦いである無農薬・栽培は手間がかかり、自分ひとりの手では販路拡大と良い作物を育てることを両立させるのは想像以上に難しい。まだまだ苦しい今の状況下では、青年就農給付金は大きな助けとなっている。
平さんは「農業の世界は厳しいが、0から100までを自分でつくりあげていくやりがいもある。若い人にも農業の楽しさが伝えられ、しっかりと収益もあげられるようにしていきたい」と想いを込めて語る。
食料自給率だけでなく、少子高齢化に伴う様々な問題の解決に対しても農業分野の振興はキーとなることは間違いない。この給付金制度をきっかけに、就農者の増加が期待されている。
準備型については三重県農林水産部担い手育成課☎059・224・・2354へ(1回目の募集は終了。2回目は9月、3回目は12月に募集する予定)
経営開始型については津市農林水産政策課☎059・229・3172。
2014年6月5日 AM 5:00