若いころのように食べられないが、それでもビュッフェに行くと、デザートを食べ過ぎてしまう。一切れが小さいのを良いことに、あれもこれもと。
 「ああ、ずつな」と声にして、その言葉を久しぶりに使ったと気がついた。関東育ちの友人に「ずつないって分かる?」と聞いてみる。地元の若い人にも分からないかもしれない。
 「ずつない」は満腹で苦しいことを意味する。単に苦しいだけではなく充足感のようなものが含まれる言葉である。お腹を撫でながら言ったりすると、それらしい。
 そういえば、気ずつないという言葉もあった。「ずつない」はどのあたりまでの方言かと調べてみたら、「術無し」と書く古語だとあった。
 標準語だと思っていた言葉が方言だったり、方言だと思っていた言葉が標準語や古語だったりすることがある。WOOD JOB!の原作「神去なあなあ日常」の「なあなあ」も方言のように見えるが辞書に出ている。 歌舞伎の掛け合いが由来だそうで、折り合いをつけて雰囲気で物事を運ぼうとするさまを表現する。津の人なら「なあなあで行こに」、伊勢なら「なあなあで行こまい」と笑顔とともに言ったりすると似つかわしい。
 この地は都に近かったせいか、古語が残って方言となっている場合も多い。柔らかい関西弁とも言われる三重弁が、私は大好きだ。    (舞)