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津市は平成24年度、自治会が設置・維持管理する防犯灯のLED型の設置への補助金を新設したが、毎年、申請が殺到。予算を前年度より増額するなどして対応に努めているものの、膨大な需要に全く追いついていない。防犯灯のLED化は公共性が高いうえ、今後、少子高齢化と人口減少に伴って維持費の捻出に苦しむ自治会が増えるのは確実であるため、長期的な視野に立った市主導による実施計画の策定が急がれる。
津市内には自治会が設置・維持管理する防犯灯が2万6644基ある。電力会社では公衆性を認め、専用の料金プランを設定しているが、電気料を含めた維持費は自治会にとって少なくない負担となっている。
そのため、数年前から、コスト削減のため従来の蛍光灯型より長寿命(約7倍の6万時間)で、年間の電気料金も低い(約50%減の1500円程)LED防犯灯への交換・設置に取り組む自治会が増加。最近、技術革新で価格が1基1万50000円程まで下がってからは需要が一層高まっている。
そんな中、津市は平成24年度、自治会への防犯灯設置補助事業(1基当たり補助率2分の1、上限1万円)を「津市防犯協会」から引き継ぎ、LED防犯灯の設置補助金(補助率3分の2、上限2万円)を新設したが、274自治会から予算930万円を大幅に上回る約2600万円の申請が殺到したため、緊急性の高い634基分を交付。翌25年度に予算約3700万円で、前年度に対応し切れなかった件と、新たに申請された件の合わせて386自治会に2141基分を交付した。
そして今年度は、約1000基分の予算1600万円に対し、今月2日の締め切り時点で、463自治会から2900万円・約1800基分の申請があった。市は対応を考えているが、そもそも、「1自治会当たりの補助の上限台数」が新設当初は最大10基だったが25年度の申請分以降は、維持管理している総数の1割に引き下げられた。
ある自治会関係者は「年に1割では(LED化完了に)10年かかり、電気料金を抑えるにはスピードが足りない。倍の2割にすれば半分の5年で終わる。2割にする分、1基当たりの補助率を2分の1・上限1万円に下げても、最近の環境意識の高さから、申請は大幅には減らないのでは」と話す。
一方、全国には自治体主導で防犯灯の整備に取り組む先進事例があり、その一つである神奈川県大和市では、今年度、市内の防犯灯約1万基(見込み)の維持管理を自治会から市に移管。蛍光灯タイプを10年間の保守付きリースにより一括でLED化する。同市は従来、防犯灯の電気料金9割相当額と維持管理費相当額を補助金として自治会に交付しており、移管後は市が電気料金と維持費の全額を支払う。同市は、以前より自治会からの要望でもあるLED化を検討していたが、最近、近隣の市で一気にLED化が進むとともに、LED灯の価格が発売当初より大幅に下がったのを機に、環境性向上や財政負担削減を図り、実施に踏み切った。
津市は来年度も補助事業を継続するが、電気料金の値上げが続く中、人口減少で自治会の歳入は減り続けている。そのような深刻な背景から生まれている需要に対して、長期的な計画もなく一時しのぎの補助を繰り返すのは、予算の有効活用の観点からも得策ではないだろう。
既に、上限台数を超えたために補助申請できず、修繕費が賄えずに破損したままになっている防犯灯があり、このままでは将来、問題が拡大するのは確実。
そもそも防犯灯は、重要なインフラの一つであり、補助申請が殺到している背景を読み解けば、その維持管理を自治会任せにしたままで良いのかという議論にまで発展するはずだ。先進市のように、防犯灯の公共性の高さや、安全なまちづくりに果たす役割の大きさを十分に踏まえた市民目線の施策を期待したい。
2014年6月27日 PM 8:33
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