唐揚げがブームだという。そういえば、コンビニでも売られているし、たまに通る道にも唐揚げ専門店ができていた。店の前にはノボリがはためき、店の中には何人かのお客の姿が見えた。
 注文を受けてから肉を揚げるのだろう。しばらく待つので、人の列ができる。列があると、おいしい店に見える。少々待たせるのがコツだなと見抜いたつもりが、本場九州の唐揚げはどんなにおいしいかと気になる。
 唐揚げは家庭料理の定番でもある。それぞれの家にそれぞれのレシピがあって、家庭の味ができあがる。我が家でも子どもが食べ盛りの頃には、十日に一度は唐揚げを作った。お弁当にも登場した。我が家の唐揚げはニンニクとショウガを入れた醤油味。スーパーにも揚げたて唐揚げパックが並んでいるが、我が家の唐揚げが一番おいしいと思う。
 ところが、唐揚げをすると台所が汚れる。レンジも壁も換気扇も油っぽくなるのが難点である。だから、子育て終わった私たち夫婦は唐揚げを外で食べることにしている。一人三個もあればじゅうぶんで、それ以上はお腹の脂肪となってしまうのだから、台所を汚すほどでもない。
 唐揚げの本場九州でも、店買いが多いそうだ。専門店の味付けは家庭の味を超越するだろうか。今度あの店の前を通ったら、唐揚げ二人前を買ってみよう。   (舞)