7月1日より『津市火災予防条例』が改正され、中~大規模の野外イベント開催時、露店で火器を使用する場合には届け出と消火器の設置を求められるようになった。これから秋にかけて野外イベントのベストシーズンを迎えるが、昨年8月に京都府福知山市で発生した露店の爆発事故のような悲惨な出来事を起こさないためにもイベントの主催者と露店の出店者の双方に、より厳しい危機管理意識が求められることになりそうだ。

 

 まだ記憶に新しい昨年8月の福知山花火大会の事故では、露天商が発電機にガソリンを給油しようとした際に爆発が発生。59名が重軽傷を負い、そのうちの3名が死亡するという悲惨な結果を引き起こしている。この事故の余波で、昨年中には全国各地のイベントが延期や中止になった。
 国も全国の自治体に呼び掛け、検討会を開くなど対策の具体化を進めており、今回の『津市火災予防条例』の改正も、この流れを受けてのものだ。
 改正の大きなポイントは不特定多数の人間が訪れる中~大規模の野外イベント(顔見知りの地域住民ばかりが集まる小規模な盆踊りなどは対象外)で露店を出し、火器を使用する場合は消防への届け出と消火器の設置(火器を使用する露店全てが対象)を求められるようになったこと。
 更に津まつりのような津市を代表する特に大きなイベントは『指定催し』と位置付けられ、前述の内容に加え、避難経路や消防車の進入ルートを想定した計画の提出までが求められるようになった。
 ここでいう火器とは、コンロ・フライヤー・ホットプレートなど、ガス・炭・ガソリン・電気などを熱源とするものを指す。
 福知山の事故に関してもそうだが、主催者側と露天商の間で、ある程度の打ち合わせはしているものの、使用火器や消火器設置までを管理するという概念自体がこれまでなかった。今回の条例改正で、この隙間をある程度カバーしていくという形になる。
 昨年の事件発生後には津市消防本部でも、市内各地で開催されたイベントの企画会議や会場を回るといった対応を続けてきたが、今年は条例改正に基づく形でより細やかなチェックを行っていく見込みだ。
 実は、条例が改正されたといっても法的な強制力はないため、届け出を行わなずとも火器を使用する露店を出すことは可能だ。だがもし事故が起きてしまった場合、法的に今まで以上に重い責任が問われることになるのは間違いない。
 いつの時にも、想定外の事故は起こり得るし、それらのほとんどが慢心によって生み出されたもの。
 ただでさえ膨大な準備に追われる主催者側にとって条例改正で新たな労力が生まれるため、手放しに歓迎できない気持ちも理解できる。しかし、来場者の安全を守り、健全なイベント運営を行うためにも、従前よりも、しっかりとした危機管理意識が求められよう。
 条例改正や申請などの問い合わせは、津市消防本部消防安全課☎059・254・0354。その他、イベント開催場所を管轄する各消防署でも受付。