津市健康福祉部福祉政策課は日本赤十字社の津市地区=地区長・前葉泰幸津市長=担当窓口として毎年、市内の自治会を対象に寄付金を募集しているが、自治会に提示する「世帯あたりの寄付目標額」の設定は旧津市以外の9地域では各総合支所任せで、全市統一していない事がこのほど判った。この体制は市町村合併時に協議されないまま慣例的に続いてきたもので、自治会間の不公平に繋がっており、早急な是正が求められる。

 

 日本赤十字社では、都道府県や市町村にある支部や地区・分区を通じ、自治会から寄付を募集している。年間500円以上を寄付した人は「赤十字社員」となり、毎年2千円以上で累計2万円以上か、一度に2万円以上の寄付で「特別社員」として表彰される。
 津市地区では今年度、6月末までを目安に自治会からの寄付を募集した。その流れは、まず、「日本赤十字社三重県支部」=津市栄町、野呂昭彦支部長=が、市内の世帯数などから算出した津市地区の寄付目標額3千950万4千円を、市福祉政策課に提示。
 同課が、この津市地区の目標額と、市内10地域(津・久居・河芸・芸濃・美里・安濃・香良洲・一志・白山・美杉)別の世帯数などから各地域の目標額を計算し各総合支所に提示した。 そして各支所が、独自裁量により世帯あたりの目標額を提示するなどして、自治会から寄付を募集した。 本紙が各支所に募集方法を取材した結果が左表。
 1世帯あたりの目標額は8地域で設定されており、最低で津の356円、最高で久居などの500円と大きな差がある。また、金額の根拠も、地域の世帯数などによる算出額や、算出した数字の100円未満を切り上げた地域、さらに赤十字が協力を仰いでいる500円など様々。生活保護世帯を募集対象の世帯数に含むかどうかも、県支部、各地域で考え方が異なる。加えて各自治会長はもとより、総合支所の担当者ですら、地域間で対応が異なることを殆ど認識していないのが現状。
 この差異は、平成18年の市町村合併時に統一に向けて協議されなかったのが最大の原因である。
 寄付金を募る以上、強制ではなくても、目標額を提示する場合も、しない場合も明確な理由と説明責任が必要。自治体としても、日赤の地区としても一つの組織である津市で、10地域ごとに募集方法が異なる状況は、市民にとって到底容認できるものではない。
 現状を知った自治会関係者は、苦労して区費をやりくりしているなか、地域差がある目標額を提示されることに強く反発している。
 これらの現状に対し日赤県支部では「ほかの市では寄付目標額は統一されている。津市でも統一したほうが良い」としている。また市福祉政策課では「できれば10地域で統一したほうが良い。各地域と相談してその方向に持っていけたら」とし歯切れが悪いが、同課が主導的にならなければ全市統一は実現しようがないだろう。
 統一に向けた協議には一定の時間が必要。来年度の寄付募集に間に合うよう直ちに開始すべきだろう。