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暑い夏は、祭りや花火大会といった野外イベントや仲間内での飲み会が増えるシーズンだが、それに伴い自転車での飲酒運転をする人が後を絶たない。自転車にも自動車と同じ厳しい罰則は存在しているが、そのことを自覚していない人も多いため、津署でも検挙を視野に入れた厳しい指導や取締りを行うとしている。自転車は悲惨な交通事故の被害者にも加害者にも成り得る存在であることをより多くの人が強く認識すべきであろう。
「今日は飲むから自転車で行く」。そんな言葉を周囲の人や家族から聞いたことはないだろうか。詳しい統計は取られていないが自動車の飲酒運転が厳罰化されて以降、軽い気持ちで自転車の飲酒運転をする人の姿を見かけることが増えているのは確かだ。
しかし、自転車は道路交通法上、軽車両として扱われている。自動車・バイク以外の車両も法律で飲酒運転は禁じられている。当然自転車の酒酔い運転(呼気中のアルコール濃度に関係なく酒に酔った状態で運転すること)も厳しい刑事罰(5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金)の対象となっている。
だが、自動車やバイクと違って自転車には免許制度がないため、酒気帯び運転(呼気中のアルコール濃度に応じて基準が設けられている)が適用されない。それと混同され、「自転車なら飲酒してから乗っても大丈夫」という誤解が広まっている可能性もある。
津署管内で今年1月から7月23日まで自転車に行った交通指導623件の内、飲酒は11件。特に厳しく飲酒運転を取り締まっている津市大門から出てくる自転車に乗っている人に声をかけたところ、飲酒をしていた人が多くいたという。このような実情もあり、津署では、積極的に自転車への声掛けを続けている。
少し視点を広げてみるとこの問題は、道路交通法の改正に伴い、路側帯の左側通行と定められたことなど、自転車を取り巻く環境が大きく変化していることにも係わっている。自転車が加害者となった死亡事故に対して数千万円単位の損害賠償を求める判決が出され大きな話題を呼んだことも、その一例だ。
これらはつまり、自転車の法的な位置づけが、自動車と比較した際の弱者から歩行者に対する強者と捉えられるケースが増えているということを示している。まして飲酒の上での事故となれば、相応の責任が問われることは間違いない。
県内では自転車の飲酒運転での検挙はまだ無いが、ここ数年で全国では少しずつ検挙者が出始めている。津署の交通第一課長・伊藤誠司さんは「自転車の飲酒運転は、絶対に看過できない。検挙を前提とした指導と取締りを徹底的にやっていく」と語気を強める。
自転車は、子供から大人まで誰もが気軽に乗れる便利な乗り物である反面、ひとたび事故を起こせば、加害者にも被害者にもなり得る。近所の夏まつりや親しい者同士での飲み会など自転車に乗る機会が増える夏だからこそ、一人ひとりがそのことを改めて強く認識し、飲酒運転を絶対にしないだけでなく、周囲の人々にも強く呼びかけることが重要といえよう。
2014年7月31日 AM 5:00
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