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8月5日14時過ぎ。私とM君は、美杉町下之川に居た。今日は、美杉町と一志町を結ぶ矢頭峠に挑む。
降り注ぐ鋭い日差は容赦なく、私たちの身体を貫いていく。車の屋根から自転車を下ろすだけで、皮膚が焼ける。
今日は新兵器のインカムを投入する。前後を走る自転車同士でコミュニケーションを取るのに、いつも不自由さを感じていたので思い切って購入。マニュアルを読みながら、なんとかセッティングを完了した。
開始早々、額から汗を流しながら、矢頭峠へと続く坂道を登っていく。すると矢頭トンネルの工事現場が見える。このトンネルは、津市が下之川に建設を予定しているゴミの新最終処分場の建設計画に伴い、工事が進められている。これから走る峠道は、美杉町から一志町への最短ルートだが幅員が狭く車で走るには適しているとは言い難い。そのため、このトンネルが必要となる訳だ。
完成すれば、現状でも地元の限られた人以外は余り通らないこの峠道の交通量は、更に減少するだろう。だから、その前に自分の足と目で、この峠道の姿を記憶しておきたかったのだ。
「聞こえるか」「ああ、うるさいくらいにな」。走り出し以降、インカムの性能を確かめているが、感度は良好。声もはっきりと聴こえるし、これは想像以上に便利。
そうこうしながら、延々と続く坂道を登っていく。斜度はきついが、今の私たちなら、ある程度は登れそうなレベル。木立のカーテンが幾分日差しを和らげてくれるので、明らかに涼しく感じるが、湿度と気温が高いことには変わりがない。ここまで走ってきた距離と時間はわずかなものだが、暑さに蝕まれた体が急激に重くなった感覚を覚える。峠は目前だったが少し先を行くM君にインカムで呼びかけ、休憩を取ることにした。すると、いつもは軟弱な私のことを笑うM君が、いつになく苦しそうな表情を浮かべている。
路肩に自転車を停め、水分を摂り、しばらく休憩。再出発後も、無理はせず、歩いて登っていく。そこから下り坂を降りると、すぐに矢頭中宮キャンプ場へと到着。丁度、夏休み中の家族連れがバーベキューを楽しんでいた。
キャンプ場の間を縫うように走る道路のすぐ脇には、推定樹齢1000年を超える県の天然記念物・矢頭の大杉がそびえ立っている。いつもなら、アウトドア好きのM君は嬉々として周囲を見て回るはずだが、自転車の近くに腰を下ろしたまま、ぐったりとしている。ここは無理せず、引き上げた方が賢明と判断。軽い熱中症だったようだが、すぐに体調が戻ったのは不幸中の幸い。気を引き締めて次回に臨もう。(本紙報道部長・麻生純矢)
2014年8月28日 AM 4:55
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