講演する大川理事長

講演する大川理事長

 (公社)津法人会=津市広明町=は、秋の研修会として、9月24日(水)14時~15時半、津都ホテル5階伊勢の間で、学校法人大川学園の大川吉祟理事長を講師に招き、講演会を開く。演題は「紀伊半島の森と宗教」。
 大川さんは「紀伊半島、そこは平安の昔から神仏混淆という日本独特の精神生活の聖地をいくつも生み出しています。聖地の背景には森(山)があり、森は聖地より聖地たらしめ、そこにさまざまな背景がありました。2千年の歴史を持つ伊勢神宮と、その森、譜陀落渡海の地の熊野大社とその森、大峰連山の七十五靡(なび)きとその森、吉野蔵王堂とその森、高野山金剛峰寺とその森です。
 その聖地をつなぐ紀伊山地霊場巡りを、精神と経営といった違った観点から見てゆきたいと思います」と話している。参加無料。申込みは、氏名と人数を書いて津法人会へFAX059・227・6085。
 問い合わせは☎059・225・1302。

 一志町歴史語り部の会と津観光ガイドネット(津市観光ボランティアガイド・ネットワーク協議会)が主催する語り部さんと歩こう「万葉のさと一志町」の歴史ウォーク『井生藩1万石の山里を歩く』が11月15日(土)に行われる。現在、参加者を募集している。協力=一志町郷土文化研究会、みえ歴史街道構想津地域推進協議会、近鉄。
 豊臣、徳川両勢力伯仲の時代、松浦宗清(一説に松浦秀任)が領主であった井生藩1万石の山里を歩き、古社寺を訪ね、浄閑塚・井溝を見学し、機械力の無かった時代、大きな井堰を4回も造った先祖の執念ともいえる偉業を偲ぶ。
 ▼コース(約5キロ、約4時間。昼食を済ませてから参加すること)=中井生集会所前~真光寺~西光寺~浄閑塚(紙芝居)~井生白山比咩神社~真長寺~力石~風呂やの地蔵さん~井生井堰の井溝~樹木公園~赤岩の地蔵さん~中井生集会所。
 ▼受付場所・時間=中井生集会所前12時~12時半。
 ▼定員=100名。参加費200円。雨天決行(荒天中止)。ボランティアガイドが同行する。
 津市一志総合支所地域振興課☎津293・3008。当日の開催可否は一志町歴史語り部の会事務局☎090・4156・0352中尾さん。

「波氐神社」の社殿

「波氐神社」の社殿

 波瀬小学校の裏手にある波氐神社にも立ち寄る。参道は小学校の横から繋がっており、市道を挟んで城砦を思わせる立派な石垣の上に社殿がある。自転車の私たちは、砂利が敷き詰められた参道をぐるりと迂回する形で、境内へ入る。
 ここは、伝教大師・最澄が社殿に改修を加えたという記録が残る式内社。すぐ隣にある曹洞宗の古刹・安楽寺の境内を覗くと、盆踊り用のものと思われる櫓が組まれている。
 境内の木陰で、少し体を休め水分を補給するが猛烈に暑い。余りゆっくりしていると、体調を崩しかねないので、ペース

「波瀬川」のほとりにて

「波瀬川」のほとりにて

アップが必要だと判断。神社を出た私たちは県道43号を東進し、波瀬の集落を出る。
 ベビースターラーメンで有名なおやつカンパニーの伊関工場の前を通り過ぎ、波瀬川に沿って走っていく。この辺りは自動車のスピードが乗りやすい場所なので、周囲に気をつけながらペダルをこぎ、徐々に加速していく。お盆だけあって、平日の昼間にも関わらず、意外と交通量がある。
 名松線の踏切をこえて、レトロなコンクリート橋を渡り、県道15号と交わる手前辺りの波瀬川のほとりで休憩。今まで、ずっと脇を走ってきたこの川は台風が来るたびに増水し、流域住民に不安を与えている。そのため、市は川底の土砂を掘る浚渫工事を進めているが、市の発表によると、先日の台風では、従前より水位が低下。効果はそれなりに出たそうだ。それでも、この付近の水量は今とは比較にならないほどで、水位計を飲み込みそうな勢いだった。県内はいわずもがな全国で猛威を振るっている集中豪雨の被害を見ると、自然の脅威の前には、全能と錯覚を覚えてしまうほど豊かな生活を手に入れた我々がいかにちっぽけな存在であるかを思い出す。
 私たちは県道15号と交わる交差点を、少し回り道になるが高野団地方面へと進んでいく。とことめの里一志の下で、毎年栽培しているヒマワリが満開を迎えているのだが、台風の影響で多くが寝そべってしまっている。少し残念だが秋のコスモスや来年を楽しみにしよう。
 更に、坂を上り二人は団地の中に入る。この旅は、なにも名所・旧跡を回ることばかりが目的ではない。私は職業柄、津市内であれば、町名や簡単な説明さえ聞けば、大体どこへでもいける自信はあるが、一つだけ例外がある。それは団地の中だ。商店など、目印となる建物に乏しく、綺麗に整理された区画割が情報のインプットを阻害する。まして、周辺は住宅しかないので、普段通ることがなく、用もないのに車でウロウロするのは、心情的にはばかられる。自転車でのんびりと走れる今は好機なのだ。
 M君から見れば、なんてことのない団地の中を、名勝旧跡を歩く時より、嬉々とした表情で走る私の姿は少し異様に映っただろう。しかし、こういう未知を埋める過程が、私にとってのこの旅の意義でもある。(本紙報道部長・麻生純矢)

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