秋の彼岸の頃に咲くから彼岸花。この花の名を知ったのはいつのことだろう。小学生の頃には、すでにその名を知っていた。
 学校帰りの道々、上級生から首飾りの作り方を教えてもらった。茎を右にポキっと折ってはツーと皮を剥き、左にポキっと折ってはツーと皮を剥きと繰り返す。根元から花まで折ると、首飾りのできあがり。低学年でもできる草遊びだった。
 彼岸花は通学路に沿って赤い花を咲かせており、その中から一番鮮やかな花を折り取ったものだ。反り返った花弁が美しくて、華やかな首飾りがうれしかった。
 でも、家にまで持って帰ると母に叱られる。母はこの花を忌み嫌った。毒があるからという理由だけではなかったと思う。毒ならば、夾竹桃にもおしろい花にもある。母にとって彼岸花は、もっと強い禁忌のようだった。
 近年、彼岸花の美しさが認知されてきたのか、あちこちに名所ができている。愛知の矢勝川や、岐阜の津屋川、奈良の仏隆寺など、この時期の新聞にカラー写真が掲載される。
 母の教えにも関わらず、私は彼岸花が好きだ。今年も安濃まで彼岸花を見に出かけた。去年蕎麦畑の白と彼岸花の赤の対比が美しかった場所では、蕎麦が姿を消していた。そして、赤く咲いた彼岸花は草刈り機でなぎ倒されていた。彼岸花を嫌う人もまだいるようだ。       (舞)