服を買うときは友達と出かける。似合う服は自分より友達が知っている。決断力の乏しい私には、誰か背中を押してくれる人が必要だ。
 「どう?これ似合う?おばさんっぽくない?」などと相談する。しかし、どう見てもおばさんの私が、おばさんでない服を望むのはおかしいかも。「もうお姉さんに見えるはずもないから、おばさんっぽい服でもいいかな」と言ってみる。「そうやね。おばあさんに見えたら嫌だけど、おばさんっぽくても仕方がないね。」
 子どもからお姉さんになって、おばさんになっておばあさん。女の人生で一番長いのがおばさんの時代だ。私は二十代半ばから、おばさんだと思っていた。今思うと、三十代半ばぐらいまでお姉さんと名乗ってもよかったような気がする。もったいないことをした。
 とはいうものの、おばさんになって生きやすくなった。おばさんなら突然話しかけても驚かれないし、思ったことを言っても非難されない。カッコよく見せるための無理も背伸びも無縁である。
 この素晴らしいおばさん時代も、いつかは終わりになる。さて、いつからおばあさんになるのだろう。腰が曲がってからだろうか。顔が皺で覆われてからだろうか。見知らぬ人から、「ちょっとそこのおばあさん」と呼びかけられる日がきっと来る。なるべく遅く来てほしいけれど。
         (舞)

[ 8 / 8 ページ ]« First...45678