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朝から冷たい雨が降っている。ひと雨ごとに秋が深まり、冬が忍び寄る。私はライトダウンのベストに手を通した。これからの季節はダウンを手放せない。軽くて暖かくて着ていることを忘れるような素材だ。
西洋の童話のお姫様は羽根布団にくるまって寝るものだったし、北欧のバイキングも羽根布団で寝ていたと聞いた。
だから、鳥の羽をむしって袋に入れた羽根布団の歴史は古いだろうと想像できる。綿を育てて綿花を集めたり、蛾の繭をほぐしたりするより、楽にふわふわが手に入りそうだ。
しかし、最初に羽根を衣服にしようと考えた人は偉いと思う。それは、毛皮と同様、極寒地での作業用に作られたのではないだろうか。たぶん初めは袋に入れた羽毛を背中に当てるような形で。
それが、布地の進化と縫製技術の向上によって、デザイン性も優れた衣服になった。毛皮は相変わらず庶民から遠いが、ダウンの方は円高のおかげもあって、巷にあふれている。誰もが重いコートを脱ぎ棄て、ダウンコートを新調した。
冷たい雨の日に、ダウンの暖かさを背中に感じながら、窓の外を眺めている。雨には雨の幸せがあり、孤独には孤独の味わいがある……などと思えるのも、背中の暖かさのおかげである。寒ささえやり過ごせれば、冬には冬の楽しみがある。 (舞)
2014年12月4日 AM 4:55
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