講演する藤田達生教授

講演する藤田達生教授

 11月22日、東京日本橋の三重テラス2階イベントスペースで、一般社団法人津市観光協会と津ガイドネットの共催による歴史講演会とパネル展、津市名所写真展が開かれ、東京在住の藤堂宗家15代高正氏、弟・高幸氏も来場するなど100名に及ぶ来場者があり盛会だった。
  10時から16時まで開かれた津市名所写真展は、市内ガイド14団体が担当地域の中から自慢の名所を3箇所ずつ選んで紹介。
 パネル展は、『江戸・東京と津藩・久居藩ゆかりの地』がテーマ。江戸後期に通算4万部も売れた初の多色刷り江戸切絵図(区分地図)のうち津藩・久居藩に関わる下谷・本所・深川・巣鴨の4点を展示のうえ、両藩の各種屋敷や江戸城、上野東照宮、菩提寺の寒松院・墓地。津の津城・久居陣屋、寒松院、元は津藩染井下屋敷にあった石造物、江戸橋、深川の名工が鋳造した津観音の天水鉢など、江戸・東京と津を関連づけた解説と現況写真などB2判パネル全17枚で構成。
  また幕末、深川の津藩下屋敷で鋳造された寛永通宝鉄銭の実物や、文政元年に描かれた染井下屋敷の庭園絵巻も展示し、来場者の興味を引いていた。
  午後、1時間にわたり展示会場内で行われた主催事の講演会『江戸幕府と津藩祖藤堂高虎公』は藤田達生三重大学教育学部長・教授が講師。なぎさまち実現、アクセス船運航会社誘致に尽力した元津市助役・小林利之さんや、高虎公遺訓200カ条で知られる佐伯氏の子孫、染井下屋敷など駒込一帯を案内しているガイドらも訪れ、椅子を追加しギリギリ60席満杯の盛況。
  藤田教授は、高虎公の人となりや、関ヶ原合戦、大坂包囲網構築、大坂冬・夏の陣に先鋒・参謀として果たした役割、あるいは公武一和を推進し徳川260年の平和の礎を家康・秀忠の右腕として築いたことなどを紹介。また、今治城に始まる平和な時代の到来を見越した使い勝手の良い、城郭・城下町を含めた都市設計を行った先駆者であることも力説。参加者から「藩の成立など勉強になった」「東京でこんな講演会がある時は、ぜひ知らせてほしい」という声が寄せられるなど大好評だった。