2014年12月

 朝から冷たい雨が降っている。ひと雨ごとに秋が深まり、冬が忍び寄る。私はライトダウンのベストに手を通した。これからの季節はダウンを手放せない。軽くて暖かくて着ていることを忘れるような素材だ。
 西洋の童話のお姫様は羽根布団にくるまって寝るものだったし、北欧のバイキングも羽根布団で寝ていたと聞いた。
 だから、鳥の羽をむしって袋に入れた羽根布団の歴史は古いだろうと想像できる。綿を育てて綿花を集めたり、蛾の繭をほぐしたりするより、楽にふわふわが手に入りそうだ。
 しかし、最初に羽根を衣服にしようと考えた人は偉いと思う。それは、毛皮と同様、極寒地での作業用に作られたのではないだろうか。たぶん初めは袋に入れた羽毛を背中に当てるような形で。
 それが、布地の進化と縫製技術の向上によって、デザイン性も優れた衣服になった。毛皮は相変わらず庶民から遠いが、ダウンの方は円高のおかげもあって、巷にあふれている。誰もが重いコートを脱ぎ棄て、ダウンコートを新調した。
 冷たい雨の日に、ダウンの暖かさを背中に感じながら、窓の外を眺めている。雨には雨の幸せがあり、孤独には孤独の味わいがある……などと思えるのも、背中の暖かさのおかげである。寒ささえやり過ごせれば、冬には冬の楽しみがある。 (舞)

紅葉を愛でながらの茶会の様

紅葉を愛でながらの茶会の様

 11月25日、津市栄町の四天王寺で禅茶会が開かれた。曹洞宗の中本山である同寺は聖徳太子の開創と伝わる古刹。東堂(前住職)の倉島昌行さんの呼びかけで長年にわたり開いてきたこの茶会では、茶道と共に禅の教えを学んでもらうのが目的。檀家の女性会を中心に一般の人も参加し、毎月最終火曜日に開かれている。
 正客は参加者最年長の尾上さだ子さん(92)が務めており、指導は裏千家の牧野京市さんが行っている。
 参加者たちは本堂の脇にある茶室から境内を臨む形で、真っ赤に色づいた美しい紅葉を愛でながら、抹茶を楽しんでいた。
 この日、茶室には津市出身で昭和を代表する曹洞宗の僧侶・沢木興道の掛け軸が掛けられ、茶器も価値のあるものなど、同寺ならではの趣向で、素晴らしい品々を鑑賞しながら茶の湯と共に禅の教えも学んだ。
 参加者は「お茶の文化に触れることで精神的に豊かになり、日常生活も良くなる」と話していた。
 ただいま参加者募集中。参加費は、食事付き2000円(食事なしの場合は1000円)。実施は毎月最終火曜日の11時頃より。
 問い合わせは、倉島さん☎090・4853・5588へ 。

 12月13日(土)、津市美杉町奥津にある八幡地域住民センターで、地域伝統の正月飾り「もち花飾り」を作る教室が開かれる。9時半~受付け、10時開始。  JR名松線や、地域の活性化に取り組む商工会女性会員有志が近くで運営するミニ道の駅「かわせみ庵」が、家庭の正月を美しく彩る伝統文化を多くの市民に知ってもらおうと、毎年催しているもの。
 参加者は、丸めた餅を木の枝に思い思いにつけて、趣きのある作品を完成させている。幅広い世代の男女から人気を博しており、リピーターも多い。
 なお、当日は毎月第2土曜に同センター前で催されている「奥津宿・街道市」も同時開催される。
 参加費は弁当代込みで1600円。定員は60名。
 申し込み・問い合わせは中田さん☎090・4083・8550へ。

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