ずいぶん前になるが、プールのシャワーブースでウンチ騒動に遭遇したことがある。タイルに付いた汚れがウンチであるに違いないと、人が集まった。
 大人の女性だけが使用する場所なので、そんな汚れがあるはずはないのだが、大人の女性が使用する場所だから可能性があるともいえる。年をとれば、あちこち緩くなってもしかたがない。お湯で流せば済むことだし、踏んづけたわけでもないしと、集まった人たちは割合と寛容だった。
 翻って、世間をにぎわしている食品への異物混入について思う。プラスチックや金属片や虫が食品から発見されたというニュースが後を絶たないが、それはそんなに大きな問題だろうか。確かに食の安全は守られるべきだ。でも、事例の多くは小さなミスである。何年か前の毒餃子事件とは根本的に違う。
 野菜に付く小さな虫が離乳食に混入した件もあった。もちろん野菜をきれいに洗うことは重要だが、毒虫でなければ食べても問題ないのではないだろうか。ウニやナマコまで食べるのだから虫ぐらい……。虫も嫌う、農薬たっぷり野菜を使う方が危ないだろうと思う。
 ウンチにしろ、虫にしろ、自然なこと。清浄を求めすぎるのは間違っている。生きていれば必ず汚れる。ミスもする。自分の汚れに対すると同じぐらい、他人の汚れやミスに寛容でありたい。         (舞)