平成30年の大河ドラマの主人公にぜひとも藤堂高虎公を──20日、高虎公ゆかりの東京・滋賀・愛媛・三重の関係自治体・推進団体代表ら36名が東京都渋谷区のNHKを訪ね、籾井勝人会長、板野裕爾専務理事・放送総局長ら幹部と面談し平成14年の第1回以来、10回目の請願を行った。

 

請願団と面談する籾井NHK会長

請願団と面談する籾井NHK会長

 第10回目の請願団は、昨年初参加した千代田区『神田和泉町』=津藩藤堂和泉守家江戸上屋敷跡にできた町=の宮沢敬則氏はじめ歴代町会長3氏が今年も参加するなど昨年同様、東京、三重(県・津市・伊賀市・民間団体)、滋賀(県・生誕地の甲良町)、愛媛(県・今治市)の連合請願団に衆議院から川崎二郎(代理・岸田秘書)、松田直久、中川康洋の3氏が応援に加わり合計36名。
 NHK側は、籾井勝人会長、板野裕爾専務理事・放送総局長、若泉久朗制作局制作主幹、鹿島由晴ドラマ番組部チーフプロデューサー、岸本多万重津放送局長が対応した。
 まず、NHK大河ドラマ「藤堂高虎」を誘致する会の西田久光代表が、籾井会長あてに請願書を読み上げた。江戸幕府の正史『徳川実紀』に「この人ひとり神祖(家康)の神慮に叶いたるのみならず、今の大御所(秀忠)も世にたのもしく頼み思し召して」と記されていることを紹介。
 また、高虎公は女っ気に乏しいとの世評に対して、ご落胤の存在や最近の研究で第2のご落胤の存在が明らかになりつつあることなど高虎が内に抱えた悩みも紹介し、多角的に人間高虎を捉えた魅力あふれる大河ドラマを2018年に実現して欲しいと要望した。
 前葉泰幸津市長は「最初の請願は記録によれば15万人の署名を携えてここに参ったと。地域の盛り上がりを毎年毎年ご報告させて頂いている。昨年1月1日からふるさと納税に『津城跡の整備』を指定して寄附をできるようにしたが、『津城跡の整備』のための寄附が1千万円を超えた。その前の6年で集まったお金が2千万円少し。1年で1千万円集まるというのは市民のお城に対する思いが熱いということ。もう一つ、高虎が町でマーケットを開いたという史実に基づき高虎楽座を毎年開いているが、そこで『高虎一代記』という芝居が復活上演された。地域も盛り上がっているので引き続き前向きにご検討頂きたい」
 北川豊昭甲良町長は「今年、日光東照宮が400年祭を行うが、東照宮建立にあたっては高虎公が縄張りをした。世界遺産にも繋がる、技術的にも素晴らしい先人は私たちの誇りでもある。ぜひとも実現をお願いしたい」などと要望。また参加者全員がそれぞれの立場から熱い想いをNHK側にぶつけた。
 これらに対して籾井会長は「10回目のお願いと聞き甚だ恐縮している。今日の勢いある、熱意あるお願いをよくお聞きし真摯に誠意検討していきたい。高虎は主が7人くらい変わっているがこの辺をドラマでどう描けるか、それなりに面白さがある。女性に縁がないということだが、先程お伺いしたようにその道もなかなか活発であったようだ。掘り起こせば楽しい題材が幾つもあるんだと思う。
 個人的なことだが、津には思い入れがある。前の会社(日本ユニシス)にいる時、会社が命を懸けていたシステムを百五銀行、当時の前田頭取、今の上田頭取に最初に採用して頂き、後にほかの銀行にも採用された。藤堂高虎をどうしていくのか、10回目ともなるとなかなかプレッシャーが掛かるが、大事な大河ドラマなのでいろいろ検討させて頂きたい」と応えた。
 ドラマ制作の現場側から鹿島由晴ドラマ番組部チーフ・プロデューサーは「最後は我々の腹のくくりようだと思うが、大河はNHKの看板なのでコケるわけにはいかない。やる時には1年間これで頑張るぞと、絶対視聴率を取るという意気込みの中で決めている。高虎公はもっと勉強していきたい。個人的には、高虎は主人を替える中で、豊臣秀長にも仕えている。秀長は大和郡山の城主で、私、実は高校が郡山高校。学校が城内にあって非常に親しみがある」などと語った。
 大河ドラマ請願活動は、第5回目に制作現場側から「有力候補の一人」、更に6回目には「極めて有力な候補の一人」と格が上がり夢がふくらんだが、残念ながら実現していない。誘致の会世話人・大田武士元津市自治会連合会長は「会長やドラマ部の人の言葉に、10回目の重みを受け止めて貰えたと感じた」と期待を新たにしていた。

 神田和泉町表敬
 津から参加した約20名は請願後、神田和泉町の町会会館を表敬訪問。同町が一番神輿の栄誉を担う神田祭のビデオで見せて貰い宮沢敬則氏ら歴代町会長や役員と懇談。来年津市で開かれる高虎サミットへの参加要請も行った後、神田明神にもお参りした。