原田さん…撮影が行われたウッドデッキで

原田さん…撮影が行われたウッドデッキで

 14日から公開中の映画「娚の一生」=廣木隆一監督=のロケ地は、三重県の伊賀市や南伊勢町が中心。 また津市藤方の『ボートレース津』でも、昨年5月17日、豊川悦司さんが出演するワンシーンが撮影された。当日の様子を、ロケをサポートした津フィルムコミッション「ロケっ津」事務局の原田浩治さん(44)らに聞いた。
 撮影は、観戦用のウッドデッキで行われ、ロケっ津が募集したエキストラ10数名や、競艇選手が参加。
 さらに、津市競艇事業部競艇管理課の職員で業務のため現場にいた竹川哲之さん(59)が、助監督から指名され急遽、エキストラとして豊川さんと共演した。
 竹川さんは指名の理由を、「ロケっ津のエキストラは若い人が多く、もっと年上の人が必要だったのでは」と推測している。求められた動作を自然に演技しながら成功させて、本番1回目で見事、OKとなった。
 竹川さんは、撮影を「ふてくされたような歩き方をしました。緊張する前に、わけもわからないうちに終わっていました」と振り返る。また豊川さんの印象を「やっぱり芸能人。背が高くスラッとしていてかっこ良く、座っているだけですごい」と話した。
 そして原田さんは、同映画や、津市美杉町で撮影された「ウッジョブ!」などのように、三重県での映画ロケが今後増えていくことを願っている。「こうやって、ボートレース津を、どんどん映画の撮影に使ってほしい。これをきっかけに、関心のない人にも来てもらえれば」と原田さん。
 なお同映画は、辛い恋愛をしていた主人公・堂薗つぐみ(榮倉奈々さん)と、独身の大学教授・海江田醇(豊川悦司さん)の、大人の男女ならではの恋を描いている。イオンシネマ鈴鹿、109シネマズ明和などで上映中。
 また三重県・伊賀市・南伊勢町が共同で、同映画の「ロケ地&観光周遊マップ」を制作し津市観光協会や県内の上映館などで配布中。

ボートが係留された水路(雲出鋼管町)

ボートが係留された水路(雲出鋼管町)

 「久しぶりに釣りをしたくなった」「ああ、また今度ゆっくりとな」。釣りスポット『日本鋼管』を後にした私たちは国道23号方面をめざし、JFEエンジニアリング㈱の正門前を横切り、水路沿いの道を西へ。
 平日の昼間ということもあり、車通りもほとんどなく快適そのもの。水路に浮かぶ無数のボートも、のどかな風景だがふと疑問が頭に浮かんでくる。船たちをじっと観察すると、漁船が大半を占める中、プレジャーボートらしき船が混じっていることに気付く。職業病だが「もしかしたら、漁船じゃないのは不法係留なのかな」と、気になり始めたのだ。流石にこの場で追及することはなかったが後日、この水路を管理する県に確認したところ、やはり予想は当たっていた。
 少し話はそれてしまうがこの水路が出来た経緯を説明する。大規模な埋め立て地である雲出鋼管町を造成した昭和40年代に、この水路の少し南側には元の海岸線があり漁師たちが船を係留していた。どうもその代替えとして、漁船を係留する簡易港湾的な役割を果たすためにつくられたもらしい。今では、ここを管理する漁協もなく、いつの間にか漁船以外の船が係留されるようになったらしい。何気ない風景の中にも、好奇心というフィルターを通せば、明らかになる様々な問題が潜んでいるのだ。
 つい、長くなってしまったが、話をサイクリングに戻そう。私たちは件の水路の脇を抜け、雲出川左岸浄化センターを南進。無数の太陽光パネルが並ぶメガソーラー発電施設付近のT字路を西へと曲がる。やがて川を渡れば、すぐに国道23号だ。愛知県と三重県を結ぶ大動脈を北へと進んでいく。
 この道は自転車が、どう走るのが正解なのかいつも分からなくなる。最近、自転車が加害者となる悲惨な事故が続いているため、周辺法が整備され、搭乗者の責任を問う流れになっている。自転車は免許もいらず、誰でも乗れる便利な乗り物である反面、然るべき整備を行わない車両や危険な運転を繰り返す搭乗者が後を絶たないという背景もあり、この流れにも頷ける。
 その一方、自転車は法的には軽車両扱いで原則車道を左側通行と言われても、スピードの乗った自動車が多いここの車道を走るのは相当危険だ。歩道の走行が許可されている箇所でも幅が狭く、パンクの原因となるガラスや金属片が散らばっていたりと、とても自転車の走行に適した環境とは言い難い。法整備の趣旨には賛成だが、同時に自転車が事故を起こしにくい環境整備も進めてほしい。
 もちろん、それに伴った搭乗者の意識改革も重要となる。まずは、逆走などの危険行為を見かけるのが日常茶飯事の現状を変えなければならない。私たちのような趣味で自転車に乗る人間は、その辺りを意識している者が多いが、学生やお年寄りなど、生活の足として自転車が欠かせない人ほど交通ルールやマナーを意識していないケースが多くみられる。教育も含めた大きな流れで人々の自転車に乗る意識が変わっていけば、自ずと環境も変わっていくかもしれない。(本紙報道部長・麻生純矢)

 出勤時、コートのポケットに手を入れたら、何か入っていた。取り出すと黒くて丸くてつやのある種が五個。この前このコートを着た日に採った、歩道に張り出していた木の種だ。
 裸木だったので木の名前は分からない。種を触るとポロポロとこぼれたので、ポケットに入れたのだった。種というものは、なぜか私をわくわくさせる。持って帰って、蒔いてみたい。どんな芽が出るか確かめたい。
 ポケットの種を一つひとつ蒔いていくことにした。木が生えても邪魔にされないような場所、植え込みの脇や、花壇の端に、種を投げた。土をかけたり、水をやったりするつもりはない。
 言わば、鳥になった気分。鳥が木の実を食べて、フンと一緒にその種を落とすように、私はポケットの種を投げて行く。運に恵まれれば、芽が出るだろう。
 勤め先の花壇のランタナの隣にも一個。春から秋までピンクの花を咲かせるランタナは、ずっと前に私が投げた種から育った。今では一メートルほどになっている。剪定の人が形よく整えてくれているのをみると、邪魔にされているわけではないらしい。
 この黒い種から芽が出たら、どんな花が咲くだろう。引っこ抜かれるかもしれないし、喜ばれるかもしれない。私のポケットは、この種の可能性を広げる手伝いをした。        (舞)

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