新聞はほぼ全紙で販売部数の減少が続いているが、津市安濃町浄土寺の中日新聞安濃専売所『西村新聞店』では地域密着のオリジナルサービスをする『あのっち倶楽部』としても活動し、販売部数の維持に繋げている。エコキャップの回収や安濃町内のニュースを扱うミニコミ紙の作成を始め、地域住民のニーズに沿った取組みで今まで業界が余り意識してこなかった販売店自体のファンづくりに成功している。

 

長谷山荘の利用者からキャップを受け取る西村さん(左)

長谷山荘の利用者からキャップを受け取る西村さん(左)

 西村新聞店は店主・西村大志さん(48)が23年前に脱サラで起業。中日新聞安濃専売所として約1400部を家庭へと届けている。
 近年では若年層を中心に新聞離れが顕著化。ほぼ全紙で購買部数の減少が続いており、その逆風を直に感じているのが販売店だ。
 西村さんの店舗も例外ではなく、徐々に減っていく購買数に危機感を募らせていた。管轄エリア内には大規模な住宅分譲もなく、若い世帯に購読を呼びかけても、中々数字に繋がらないことから、まずは新規客の獲得よりも既存客により手厚いサービスを展開することを優先。そこで2010年に社会貢献・地域貢献を掲げる地域密着のオリジナルサービスを展開する「あのっち倶楽部」としての活動を始めた。
 具体的な例を挙げていくとまず、町内のコンビニ3店舗に協力を求め、エコ運動としてペットボトルのキャップの回収箱を設置。温室効果ガス排出量の削減と共に、回収業者を通じて発展途上国の子供たちの命を救うワクチン代を寄付している。4日、津市片田長谷町の救護施設「長谷山荘」の利用者らも店舗を訪れ、1年間かけて集めたキャップ6㎏を寄贈した。
 更に、新聞の記事よりも安濃町内に特化した情報を掲載したミニコミ紙「あのっち通信」を発行。西村さん自身が取材を行い、記事の執筆や編集も行う。安濃町内にある様々な店舗で優待が受けられるクーポンも発行。協力店舗の集客にも貢献でき、店舗側でも新聞店の宣伝をしてくれたりと相乗効果を生んでいる。
 配達業務を通じて、地域に目を配る中日新聞販売店のサービスに加え、自動車のルームランプの消し忘れを発見した場合、ポストにチラシを差し込み知らせるなど、よりきめ細やかなサービスを行っている。その他にも、夏休みに小中学生の自由研究向けの「新聞切抜き作品教室」をしたり、プレゼントや雑誌の宅配など、多彩なサービスを行う。
 そんな地道な活動が数字として表れたのは13年。1軒だが、購買数を伸ばすというこの時代では快挙を達成。新聞の看板だけに頼らず、サービスの質で勝負するしかないという思いで、今まで業界として余り意識をしなかった店自体のファンづくりが奏功した形だ。店舗内に張り出した顧客からの声を前に「もっとお客さんに喜ばれるよう来店型の店舗にしていきたい」と笑顔で話す西村さん。
 西村さんは昨年より、芸濃町の北神山販売所の経営を引き継いでおり、それによって同店舗が管轄していた安濃町の一部もカバーできるようになり名実ともに町内全域であのっち倶楽部のサービスを展開できるようになった。新たに増えた芸濃町内を対象としたサービスは今後の課題という。
 配達や集金で地域住民と直接接する機会も多く、独自のネットワークを持つ販売店の潜在能力は高い。同店の地域の要望に即した取り組みは業界として逆境に立ち向かう一つの方向性を示しているかもしれない。

後藤社長による活動発表の様子

後藤社長による活動発表の様子

 県総合文化センターで2月24日、「防犯ボランティアフォーラムin三重2015」が開催された。主催は三重県警察本部、(公社)三重県防犯協会連合会。
 防犯に携わるボランティア団体、地域住民、事業者や自治体などが参加し、活動内容発表や意見交換を行うことで、地域を越えての防犯活動を広げることなどが目的。
 津市西丸之内の不動産会社『㈲ごとう開発』の後藤昭久社長と伊藤忍さんが、同社が三重県警察認定「子ども安全・安心の店」として行っている活動について発表した。
 「子ども安全・安心の店」は、従来からの「子供110番の家」の、緊急時の避難場所の提供に、毎月3日間以上、約30分以上の見守り活動を加えた施策。
 同社では「地域にとって子供は宝」との思いから平成22年度、この取り組みに応募。認定されて以降、先駆的事業所として子供達の安全のため尽力し、地域から大きな信頼を得ている。 発表では、営業開始時間前に登校時の見守り活動を行っていることなどを説明した。後藤社長は「このまま、事務所がある限り活動を続けたい」と抱負を話している。

伊藤課長から横断幕を贈られる伊藤会長(左)と中村校長(中)

伊藤課長から横断幕を贈られる伊藤会長(左)と中村校長(中)

  津警察署が2日から始めた「まもってくれてありがとう運動」のモデル校として、津市立養正小学校が指定され、同日、同校で指定式が行われた。 
 同署によると、津署管内では昨年、通学中に5名の児童が交通事故で負傷している。交通ルールでは横断歩道を横断しようとしている歩行者がいる場合は、停止もしくはすぐに停止できる速度で通過するか一時停止しなくてはならないにも関わらず、無視するドライバーが多いのが実状で、住民から取締り、交通指導の強化を求める声が多かった。そこで、横断の安全確保とドライバーのイライラ運転防止の観点から、児童が横断した後に停車したドライバーに対してお礼を言う同運動を展開する事にしたもの。
 当日は、津警察署の伊藤誠司交通第一課長を含む5名の職員が校長室を訪れ、中村正彦校長と、伊藤忍PTA会長に『ありがとう 横断中』と書かれた横断幕と指定書を手渡すと、二人はそれぞれ、「児童に指導していきます」、「挨拶も身についていいこと」と述べ、協力の意思を伝えた。
 その後、津市役所西側の横断歩道で児童らに指導。一旦停車したドライバーに「ありがとうございました」と子供達がお礼を言うと、ドライバーも頭を下げるなど、気持ちの良い雰囲気に。関係者らは交通事故防止に大きな効果を実感していた。 

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