冬の庭はすっきりと見える。木々が葉を落とし、明るい冬の日が地面に届く。家の南側の土にはハコベやオランダミミナグサが生えてきた。春はすぐそこだ。
 日当たりの悪い北側の土にハコベは生えない。ビロードのような黄緑色の苔が地面を覆っている。冬の苔も良いものだ。
 私の好きな苔はスギゴケやハイゴケで、嫌いな苔はゼニゴケ。ゼニゴケを見つけたら、速攻で駆除する。気を許すとペカペカと気持ち悪い深緑が大繁殖をするからだ。
 苔に対してこういう好き嫌いをするのは、年寄りくさいと言われるだろうか。何事も世代論に持っていきたいわけではないが、苔を知らない世代が増えてきている。
 新しい住宅地には、手入れのしやすい洋風の庭が多い。パンジーやペチュニアの似合う洋風の庭で育った人に、ゼニゴケ、スギゴケと分かるだろうか。観光で苔寺を訪れ、苔の美しさに感動したとしても、普段の生活の中に苔がない。苔はまとめてコケ類と認識される。
 和風の庭は、木や石や砂利で自然の風景を表現する。根締めやグランドカバーとして苔は重要な素材だ。盆栽の鉢にも苔が似合う。苔を愛でる文化は湿度の高い日本に特有のものだろう。
 しかし、文化を守ろうにも、和風庭園はおいそれとは造れない。苔玉にシダなど植えて、苔の美しさをささやかに愛でようではないかと思う。
         (舞)